4.0
単なる職人の匠の人ではなかった
奈良県立美術館での「生誕200周年記 森川杜園展」は先ず奈良人形の歴史を紹介したのちに杜園の彫刻作品を堪能しつつ、狂言の名取(自宅に自筆の松の鏡板の舞台もあった)であり(その為能狂言についての作品が鹿の作品と共に多い)、四条派に学び絵画も得意、柴田是真から奈良一刀彫を勧められて道を極めた人でした。また文化財の保護、模写、模造を手掛けた江戸生まれ、奈良の地で活動した近世の職人の技を受け継ぎ、近代的な文化財の大切さの始点を持ち合わせたマルチな才能を持った近代彫刻家の全体像がわかります。