4.0
ほれぼれ超絶技巧とサムライダンディズム
凄い展覧会でした。感想投稿が遅れ、会期末になってしまいましたが、未だお出かけでなく週末お時間がおありの美術工芸ファンな方は是非、お出かけになりサムライダンディズムの世界に浸ってみてください。ちょっと遠いですが時間と足代以上に、きっと大満足頂ける筈です。
二年前こちらの美術館であった「MAKI-E 蒔絵・美の万華鏡展」は大変感動しましたが、今回も単眼鏡を手に(お持ちでない方も無料貸し出しがあります)、「印籠」というわずか数センチ四方の小箱に凝縮された武士の嗜み(=ダンディズム)を感じつつ、江戸時代の名工達が技術力でしのぎを削った「漆芸」「彫刻」における超絶技巧の世界をたっぷりと味わえる、屈指の良展示てした。
水戸黄門の「この紋所が目に入らぬか!!」の文句で知られる携帯薬入れの「印籠」は近代細工物の主役ですよね。平和な世の中になって使われる機会がほとんどなくなってしまった刀や刀装具と同じく印籠も、武士の美意識やこだわりを表す重要なファッションアイテムへと変化していったのですね。今回展示は、柴田是真や梶川派・古満派・幸阿弥派・山田派といったといった幕府御用蒔絵師集団や、更に飯塚桃葉、原羊遊斎といった名士による名品がずらーり235点。あらゆる技法が駆使され、超絶技巧の宝庫、美しいのなんの、また美しさだけでなくシャレも利かせてあって楽しいのなんの。材質も様々。変わり印籠も多数。時間を忘れてしまいそうでした。
ところで、展覧会を観て来たら、いくら江戸初期とはいえ黄門様ほどの数寄者が、あんなただ家紋のみの武骨な印籠をお持ちになっていたとはとても思えませんね(笑)
近年の刀剣ブームで、色々な展覧会が催されていますから、本展も良品が70点近く展示され、わかりやすい解説もありますが、他の方も書かれていましたが、刀剣目当ての方にはやはり少し物足りなく思われるかもしれません。チラシポスターからもそのあたりはうかがえますから、問題ないと思いますが。
「マン・レイ・ワールド」と常設展も勿論見られます。