3.0
少し淋しい展覧会かも…
狩野永敬の襖絵の色褪せに盛衰の儚さを、後水尾天皇ご宸翰「忍」の一字に鬱々とした憤りを感じ、狩野探幽の杉戸絵の虎に「あなたは虎なのね」と、ご本尊の不動明王には「昔はお世話になりました」と語りかけて、また後陽成天皇の「仮名文字遣」と明正天皇の「三十六歌仙」の流麗な筆運びにうっとりしました。近年、武者隠しから発見されたという「実相院日記」は詳しい内容を知ることが出来ずで少し残念でした。展覧の最後には「床紅葉」などの四季の移り変りがビデオで流れていましたが、枯山水のお庭が改修されて「幽境」の言葉とは似つかわしくないほどの様変わりに驚きです。白壁と黒瓦、枯山水の白砂と梅雨空の黒雲、借景の比叡の黒と流れる霧の白、梅雨の頃のモノトーンの風景に昔は心を癒されたのに…