4.0
麗子がいっぱい
前期(~2/2)と後期(2/4~)で40作ほど入れ替わるけれど、印象的な作品はおおむね通し展示だったのでどちらの時期でもさほど印象は変わらないかもしれません。
ただし1番有名な《麗子微笑》は~2/16なのでそれまでに観に行ったほうが良いです。
不気味なイメージがあったけど生で見ると意外と可愛らしい印象でした。
他にもたくさんの麗子像があるので、前期だけでも16人ほどの麗子さんがいました。
肩掛け&カツラを装着しての撮影コーナーもあります。
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日本の近代美術の歴史において最も独創的な絵画の道を歩んだ孤高の存在である画家・岸田劉生(1891-1929)の没後90年を記念する展覧会を開催する運びとなりました。
明治の先覚者・岸田吟香(1833-1905)を父として東京・銀座に生まれた劉生は、父の死後、キリスト教会の牧師を志しますが、独学で水彩画を制作するなかで、画家になることを勧められて、黒田清輝の主宰する白馬会葵橋洋画研究所で本格的に油彩画を学びます。
そして、雑誌に紹介されたポスト印象派(当時は後期印象派)の画家たち(ゴッホ、ゴーギャン、マチスなど)を知り、「第二の誕生」と自ら呼ぶほどの衝撃を受けます。1912年には、斎藤与里、高村光太郎、萬鐡五郎らとともに、ヒユウザン会を結成、強烈な色彩と筆致による油彩画を発表します。
しかし、画家としての自己の道を探究するために、「近代的傾向…離れ」に踏み出し、徹底した細密描写による写実表現を突きつめた先に、ミケランジェロやデューラーなど西洋古典絵画を発見して、「クラシックの感化」を受けた独創的な画風を確立します。1915年には、木村荘八、椿貞雄らとともにのちの草土社を結成、若い画家たちに圧倒的な影響を与えました。
最愛の娘・麗子の誕生とともに、自己のなかの「内なる美」で満たされた究極の写実による油彩画に取り組みます。その後、素描や水彩画の直截な表現のなかに「写実の欠除」の意義を見出すとともに、関東大震災により京都に移住した頃から、東洋美術(宋元院体画、浮世絵など)に特有の写実表現のなかに「卑近の美」を発見して、日本画にも真剣に取り組みました。
しかし、鎌倉に転居して、再び油彩画に新たな道を探究しはじめた1929年、満洲旅行から帰国直後に体調を壊して、山口県の徳山において客死しました。享年38歳でした。
日本の近代美術の歴史は、フランスの近代美術を追随した歴史であったと言えますが、画家・岸田劉生は、ただ一人、初期から晩年に至るまで、自己の価値判断によって、自己の歩む道を選択して、自己の絵画を展開していきました。
フランス近代絵画から北方ルネサンスの古典絵画、中国の宋元院体画から初期肉筆浮世絵へと、西洋と東洋の古典美術を自己の眼だけで発見、探究することで、自己の絵画を創造、深化させたのです。
本展では、岸田劉生の絵画の道において、道標となる作品を選び、基本的に制作年代順に展示することで、その変転を繰り返した人生の歩みとともに、画家・岸田劉生の芸術を顕彰しようとするものです。
会期 |
2020年1月8日(水)~2020年3月1日(日)
|
---|---|
会場 | 名古屋市美術館 Google Map |
住所 | 愛知県名古屋市中区栄2-17-25 (芸術と科学の杜・白川公園内) |
時間 |
9:30~17:00
(最終入場時間 16:30)
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休館日 |
月曜日 1月14日(火)、2月25日(火) ※ただし1月13日と2月24日は開館 |
観覧料 | 一般 1,400円(1,200円) 高大生 900円(700円) 中学生以下 無料
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TEL | 052-212-0001 |
URL | https://kishida-riusei.com/ |
4.0
前期(~2/2)と後期(2/4~)で40作ほど入れ替わるけれど、印象的な作品はおおむね通し展示だったのでどちらの時期でもさほど印象は変わらないかもしれません。
ただし1番有名な《麗子微笑》は~2/16なのでそれまでに観に行ったほうが良いです。
不気味なイメージがあったけど生で見ると意外と可愛らしい印象でした。
他にもたくさんの麗子像があるので、前期だけでも16人ほどの麗子さんがいました。
肩掛け&カツラを装着しての撮影コーナーもあります。
5.0
10代の水彩画から1920年代後半に到る画業を辿ることができる素晴らしい展覧会。企画に感謝。「切通の写生」の展示が無かったのが唯一残念。麗子像は年代を追って展示されていたが、やはり「麗子微笑」は圧巻。個人的には1913年10月から12月に画かれた自画像の連作で2,3か月の間に人間としての成熟というか自信にあふれた人物に変化しており、20代前半で才能が一段と開花する様が見て取れるように感じられ楽しめた。
5.0
こちらのサイトで当選し、鑑賞させていただきました。
美術の教科書の作品の中でも、最もインパクトがあり、少々怖くもあった、岸田劉生愛娘の麗子像。
重要文化財もあり、ぜひ観たいと思いながらも、どんな印象を抱くかは想像出来ませんでした。
名古屋市美術館、岸田劉生展の 最初の会場は、数多の劉生自画像や、友人のポートレート。
殆んどが似たような肖像画であるにも関わらず、その全てに血が通い、人となりや人生を語っているかのようで、とても引き付けられました。
英語のサインやエンブレムも描かれた肖像画は、宗教画の様な崇高さを感じました。
今回、とても好きになったのが、劉生が描く風景画。開発途上の東京は緑の多い土色の景色で、太陽に照らされた赤土の匂いさえ感じ取れるようでした。
1階の会場から2階に上がる時に、まだ麗子像を観ていないことに気付くと、ものすごく麗子さんに会いたくてたまらなくなりました。
2階会場は麗子像に溢れていました。
絵のモデルとして、じっとしているのが辛いのか、ちょっと涙目の麗子や、ニッと笑う麗子。
どの麗子像も可愛いくて、愛しくて、胸がギュッとなるほど。
重要文化財の「麗子微笑」は、圧巻のオーラを放っていました。
正面より少し左の位置で観ると、麗子の瞳の下がキラキラ光り、まるで涙ぐんでいるように見えました。
笑っているのに涙ぐむ麗子は、お父さんの偉業を喜んでいるようで、胸が熱くなりました。
昔は、なぜ愛娘をあのように描くのかとも思っていましたが、アルカイックスマイルをたたえる麗子像は、劉生の最上級の愛情表現なのだと実感出来ました。
人を愛し、家族を愛し、生まれ育った東京も愛した劉生の、没後90年記念展。
今何度見ても麗子は麗しく可愛いらしい、日本一の少女です。
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