4.0
全く…、子どもの時、こういう場所で学び、遊べていたら…
ルオーコレクションで知られるパナソニックの小さな企業美術館「汐留ミュージアム」では、割と建築やインテリアデザイン系の企画展があります。何時もちょっと変わった視点で、面白く見させて頂いています。今回も長澤悟教授の書籍からも、とても楽しみにしていました。
子どもの時に過ごした空間は、原風景として長く記憶に留まり、その後の生き方や考え方の形成に与える影響は少なくありません。この企画展は、子どもたちのためにつくられた学びの場と遊びの場の建築と空間の中から、日本の近現代の建築・デザイン史に於いて、ひときわ先駆的かつ独創的なものを紹介し、過去から未来へ、子どものための建築を考える展覧会なのだそうです。写真パネル中心ながら、超貴重な図面や、模型、動画もあります。また建築だけではなく、少しですが、美術、ランドスケープ、図書、工芸、遊具や家具デザインなど総合的に紹介され、当時の子どもたちを取り巻く環境を少しだけ感じられる工夫がみられます。もちろん大人向けです。また建築に対する知識など全く無くても、それなりに楽しめる展覧会だと思います。
展示は曲面壁に囲まれたコーナーごとの時系列構成となっています。これはかなり珍しい展示空間です。元々小さい展示室が更に窮屈な感じなのですが、何故だか気づけば、子どもの頃の隠れ家や冒険遊び場に潜り込んだような不思議な感覚になっていました。旅行などで自分も訪ねたことのある、明治期の擬洋風建築や大正期のライト・遠藤新の明日館はじめ、素晴らしく豊かな自由造形の建築達。戦争前夜の魅力的な建築。更に70年代以降新しい時代の個性的で楽しい建築達。憧れの丹下健三、仙田満、大谷幸夫、イサムノグチ…。そして最後にこれからの子どもたちへ、長澤氏や手塚夫妻の実験研究的?建築達。すっかり魅せられました。
二十歳の時に育った世田谷に羽根木プレイパークが出来、その数年後には、就労市に昭和記念公園子どもの森が出来、何故自分の子どもの頃になかったのかと思い、たまたま知人の子どもも通う小平の私立小を訪ねる機会があり、私立ではあるとしても全く…、自分が子どもの時、こういう場所で学び、遊べていたら…今少し豊かな人間に成れていたのかも?? と思いました。今展ポスターにも同じような言葉が添えられています。
とうに大人となり、もはや学ぶことはもちろんです… Read More