4.0
面白かった
「田根 剛 未来の記憶 Archaeology of the Future」を見て来ました。
田根剛氏は、当時20代という若さでDorell.Ghotmeh.Tane/Architectsとしてエストニア国立博物館の国際コンペティションに優勝。また、新国立競技場のデザイン・コンクール(ザハ・ハディド案の選出時)に参加し、「古墳スタジアム」で11人のファイナリストの一人に選出された、非常に注目度の高い日本人の若き建築家です。古墳スタジアムはホント、あの場所にぴったりで、見て見たかったですね。少しでも建築に興味のある方なら、もちろんこの名を聞いたことがあると思います。
田根氏は「エストニア国立博物館」をはじめすべてのプロジェクトにおいて、「場所の記憶」を丹念に発掘・分類・調査・再構築することで、建築を通じて、記憶を未来につなげよう、と試みているとか。本展では、田根氏が「考古学的アプローチ」と呼ぶ、そのような手法を紹介するとともに、「エストニア国立博物館」や「新国立競技場案 古墳スタジアム」をはじめ、2018年に竣工した「Todoroki House in Valley」や現在進行中のプロジェクトを含む7つの作品を大型模型や映像を使って、田根の設計活動の全貌を紹介されています。オペラシティの大空間を活かして、空間演出にも優れた田根の一面を紹介するインスタレーションも展開されてます。最初の広い部屋で写真やら何やらを雑多に床から壁に張り巡らされているのを見た時、そして次の部屋でエストニア国立博物館のランダムに切り取られた映像を見て、実は「あー、失敗。」と思ってしまいました。私は、ほんの少しながらも仮にも建築を生業にしていた者でありながら、こうした表現でアーティストの頭の中を体感する、ようなことは全く不得手なのです。それでも次の部屋で完全に引き込まれました。結果、とても面白かったです。特に建築が好きという方でなくても、やはり同じように思われるのではないでしょうか。
また、同時期に建築専門のギャラリー TOTOギャラリー・間でも展覧会が開催されています。東京オペラシティ アートギャラリーとは展示テーマを変えて、これまでの活動を紐解いていくかたち。こちらも楽しいです。