この展覧会についてABOUT THIS EXHIBITION
山城知佳子は、時に自身も被写体として写真や映像のフレームに入りこみながら、土地や個人の記憶から呼び起こされるリアリティを皮膚感覚とともに感じさせる作品を発表してきた。
その制作プロセスにとって、「身体」は欠くべからざる存在だ。たとえば出身地である沖縄の過酷な戦争体験の証言を聞き、自分たちの現実との距離や齟齬を自覚した結果、山城は証言者の声を自ら繰り返し模倣するという手段を選んだ。他者の声を身体の内に容れるという、身体を用いた他者への接近。
鳥が落とした糞の中にまぎれていた種子が大地に横たわる人々を覚醒させる――神話めいた力を感じさせるシーンで始まる3画面映像インスタレーション『土の人』は、沖縄と、その歴史において沖縄と相似した経験を持つ韓国の済州島で撮影された。現実の容易ならざる状況と詩的なフィクションが画面の中で交錯する。沖縄戦を記録したサイレントの映像にヒューマンビートボックスを重ねるとき、身体性を持ったイメージとして、かつて/これからの戦争への想像力が起動する。
会期中には、『土の人』から発展したライブパフォーマンスが行われる。肌を震わせる音、言葉、声、映像。あらゆる要素が分かちがたく混交し、身体はまた新しい想像力の旅を経験することになるだろう。
◆ 山城知佳子
1976 年沖縄生まれ。2002 年沖縄県立芸術大学大学院環境造形専攻修了。写真や映像等を使い、時には自身も被写体となりながら出身地・沖縄を主題に作品を制作している。2009 年、沖縄戦の継承をテーマに体験者の言葉をなぞるパフォーマンスを映像作品にした『あなたの声は私の喉を通った』以降、フィクション性の高い映像作品へと移行する。近年はダンスパフォーマーを招いた映画や舞台など、ジャンルを超えた出会いを求めコラボレーションを試行する。
個展に「肉屋の女」(森美術館 MAMプロジェクト2012–2013)、近年の主な展覧会に「アジアの女性アーティスト展:アジアをつなぐ―境界を生きる女たち 1984–2012」(福岡アジア美術館ほか 2012–2013)、あいちトリエンナーレ2016、「From Generation to Generation: Inherited Memory and Contemporary Art」(ユダヤ現代美術館、アメリカ 2016–2017)、「Asia Pacific Breweries Foundation Signature Art Prize 2018」(シンガポール美術館、シンガポール、2018 *大賞にノミネート)などがある。「Asian Art Award 2017」大賞(2017)、オーバーハウゼン国際短編映画祭(ドイツ、2018)で女性作家に贈られる「The Zonta賞」受賞。
開催概要EVENT DETAILS
会期 |
2018年10月6日(土)~2018年11月18日(日)
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会場 | 京都芸術センター Google Map |
住所 | 京都府京都市中京区室町通蛸薬師下る山伏山町546-2 |
時間 |
10:00~20:00
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休館日 |
会期中無休 |
観覧料 | 入場無料 |
TEL | 075-213-1000 |
URL | http://www.kac.or.jp/events/23919/ |
京都芸術センターの情報はこちらMUSEUM INFORMATION
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