3.0
「日本のルソー」とは?
「日本のルソー」という謳い文句に惹かれて「横井弘三の世界展」を見てきましたが、鑑賞後、首を傾げている状態です。申し訳ありませんが、私には理解できません。誰が彼を「日本のルソー」と呼んだのでしょうか?素朴な素人画家なら皆ルソーなのでしょうか?
確かに彼の素朴な絵の多くは鑑賞者にほのぼのとした暖かさを感じさせてくれます。しかしながら、「眠れるジプシー女」や「蛇使いの女」を描いたルソーの魔術的な凄みがありません。会場の説明文パネルにあった「童心に生きた画人」や「脱俗の画家」という呼称のほうがふさわしいと思います。
辛口になりましたが、展覧会に出品された作品の中では、ややルソーに似ている「月夜の踊り」、ルオーの絵に似ている「教会」、棟方志功に似ている「辻説法」、山下清に似ている「故郷のスターマン」等が印象に残りました。
試行錯誤のためか様々な画風の絵が入り交じっていますが、「日本のルソー」という謳い文句を無視し、忘れられた素朴派画家の回顧展として鑑賞すれば、それなりに楽しめると思います。