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「SPARK-あの時君は若かった」展を見て
いよいよ終期が迫ってきた11月16日(金)に本展を見た。実は、展観後、すぐに感想文を書き上げたのだが、いざ、投稿サイトに貼り付けようと、他の投稿を見た途端、自分の書いたものが場違いであることに初めて気づいた。私は、ある時期、然る美術サイトの無給展覧会レポーターを務め、自分の希望した招待券の送られてきた展覧会のレポートを書いていたことがあり、そこでは5000字に及ぶ投稿も決して珍しくなかったので、今回もその調子で書いてしまい、大幅に短縮しようとしているうちに、徒に日を過ごし、気がつけば、1か月も経ってしまった次第。大幅短縮したつもりだが、このたびは、これでご容赦いただいたい。
ホキ美術館の立地や建物形態・展示室等に施された数々の工夫については、特筆すべきことも多々あるが、本館のホームページおよび館作成のリーフレットに詳述されているので、省略、ただ、創設者、保木氏のこだわりとこれに見事に応えた日建設計山梨氏に惜しみない称賛を送るのみ。
企画展「SPARK あの時君は若かった」は、当館のギャラリー1から9のうち、1のみで開催、他は常設展だった。
本展は、森本草介、野田弘志ほか計15名の画家の作品で構成されており、展覧会名どおり画家の若い頃からその語の画風の進化・変遷が分かる展示になっていた。
実は、私は、平成14年初、阪急うめだギャラリーで当館所蔵の森本草介作品展が開催された際、偶々来場中の森本氏にお目にかかり、親しく言葉を交わす機会を得たが、その節、意欲的に語っておられた氏が1年9か月後に亡くなられていたことを本展で初めて知った。
そんな訳で、私の本展の展観は、まず少なからぬショックと動揺とともに始まったといえる。展示作品については、どの画家も事前の予想どおり単に「写実」という言葉では片づけられないほど、それこそ実物以上に独自の雰囲気を備えた作品が多かった。
森本氏と話したからという訳では、決してないが、氏のスフマート技法を効かせたやわらかな2作品には、改めて少なからぬ感動を覚えた。大矢英雄の2作品は、いずれも綿布白亜地に描いたもので、テンペラによる背景のマットさが特に印象的だった。大畑稔浩作品は、絵具に植物や土を混ぜるなど苦心の跡がマチエールに表われていた。他の作品については、省略する。また常設ギャラリー2から9までの展示室のうち、展示室内全体を… Read More