5.0
心に深く響く展覧会です
本展は、これまで母の小野豊さんと共に制作して来られた人間国宝の志村ふくみさんとお母様二人の展覧会のように感じられました。古来より自然を敬い、祈りを捧げ、豊かな自然から多くのものを受け取りながら自然と共に暮らしてきた人々の歴史や叡智が感じられ、自然(草木)から色を取り出し、蚕がつくる絹の糸を紡いで、糸を染め上げ織られた作品は、それ自体が美しく光輝いていて自然の生命の輝きそのものに見えました。作品の素晴らしさだけではなく、作品に添えられている直筆の文から、現代の暮らし方についても問いを投げかけられているように感じられ、自己を内省する機会にもなりました。