4.0
ドガのパステル画が素晴らしい
目黒区美術館で日本パステル画の先駆者武内鶴之助と矢崎千代二に焦点を当てた「日本パステル畫事始め」を観てきました。まず「畫」という字ですが、どうして「画」ではなくこんな難しい漢字を使うのか良くわかりません。たぶん先駆者の武内・矢崎両氏が活動していた頃は「畫」という漢字が使われていたのでしょうが、PCでの変換が難しいのでここでは「画」を使用します。
パステルの利点は色の速写性と鮮やかな発色で、風景をその場で描くのに適しているとのことで、武内・矢崎両氏の絵はほとんどが風景画でした。最初は物珍しさでゆっくりと鑑賞していましたが、同じような絵の連続のため後半はざっと流しました。矢崎氏は国産パステルの開発に尽力したとのことで、両者の先駆者としての役割は評価しますが、作品自体はやや凡庸に思えます。
この展覧会で本当の見物は、最後に「パステルをめぐる物語」として展示されている海外作家と矢崎・竹内の後継者たちのパステル画でした。海外作家には、ドガの作品3点、ルドンの作品1点が展示されており、ドガの「踊りの稽古場等にて」が素晴らしかったです。参考としてドガの「エトワール」の写真が展示されていましたが、これもパステル画ということを初めて知りました。日本の画家では、川村清夫や小林千古等の良質作品が観られました。
国産パステルの実物が見られ製造過程が学べたのも楽しかったです。一見の価値はあります。