4.0
日本での工房制作
永徳、探幽に連なる狩野派の栄光の基礎となる元信について今回初めてじっくりたくさんの作品を見ることとなりました
西洋では古くから工房による制作の作品を多くみることはありましたが
日本ではここまで統一の規格として浸透させたのは画家としての技量だけでなく経営者としての才覚をもっていたのですね
書の真・行・草を取り入れた水墨画も隣同士の展示で比べることで違いがよくわかりました
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本展は、狩野元信を単独で扱う初めての本格的な回顧展となります。
狩野元信(1477?~1559)は、室町時代より長きにわたり画壇の中心を担ってきた狩野派の二代目です。狩野派とは、血縁関係でつながった「狩野家」を核とする絵師の専門家集団であり、元信は始祖・正信(1434~1530)の息子として生まれました。絵師としてはもちろん、工房の主宰者としても優れた能力を発揮した元信は、孫・永徳(1543~90)や永徳の孫・探幽(1602~74)などへとつながる、それ以後の狩野派の礎を築きました。幕府の御用絵師となった狩野派は、日本絵画史上最大の画派へと成長していきますが、その繁栄は元信なくしては語れません。
狩野派の台頭を支えた大きな要因のひとつに、「画体」の確立があります。従来の漢画系の絵師たちは、中国絵画の名家による手本に倣った「筆様」を巧みに使い分け、注文に応えましたが、元信はそれらの「筆様」を整理・発展させ、真・行・草の三種の「画体」を生み出します。そして、その「型」を弟子たちに学ばせることで、集団的な作画活動を可能にしました。襖や屛風などの制作時には弟子たちが元信の手足となって動き、様式として揺るぎ無い、質の高い大画面作品を完成させました。
また、正信は中国絵画を規範とする漢画系の絵師でしたが、元信はさらにレパートリーを広げ、日本の伝統的なやまと絵の分野にも乗り出します。濃彩の絵巻や、金屛風の伝統を引き継ぐ金碧画など、形状・技法の導入に加えて、風俗画や歌仙絵など、やまと絵の画題にも積極的に挑戦しました。とくに、それまでやまと絵系の絵師や町絵師が主導していた扇絵制作には熱心に取り組んでいます。 和漢の両分野で力を発揮し、襖や屛風などの大画面から絵巻や扇絵といった小画面にいたるまで、多様な注文に素早く対応することで、元信工房は多くのパトロンを獲得していきます。狩野派は元信の時代に組織として大きく飛躍したといえます。
本展では、元信の代表作を中心に、その幅広い画業をご紹介します。また、元信が学んだ偉大な先人たちの作品も合わせて展示し、人々を魅了した豊かな伝統の世界を浮き彫りにします。
会期 |
2017年9月16日(土)~2017年11月5日(日)
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会場 | サントリー美術館 Google Map |
住所 | 東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3階 |
時間 |
10:00~18:00
(最終入場時間 17:30)
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休館日 |
火曜日 ※ただし10月31日は開館 ※shop×cafeは会期中無休 |
観覧料 | 一般 1,300円(1,100円) 大学・高校生 1,000円(800円)
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TEL | 03-3479-8600 |
URL | https://www.suntory.co.jp/sma/ |
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永徳、探幽に連なる狩野派の栄光の基礎となる元信について今回初めてじっくりたくさんの作品を見ることとなりました
西洋では古くから工房による制作の作品を多くみることはありましたが
日本ではここまで統一の規格として浸透させたのは画家としての技量だけでなく経営者としての才覚をもっていたのですね
書の真・行・草を取り入れた水墨画も隣同士の展示で比べることで違いがよくわかりました
4.0
狩野元信の絵を、こんなに見たのは初めて。きらびやかな印象の狩野派だが、もともとは中国絵画(漢画)から出発して、元信によって変化し、確立されていったことがよく分かった。画体の型を学ばせることで、次を担う絵師たちが大きく成長し、誰もが知る狩野派に発展したのだと納得。18日からは、一番の目玉の、大仙院の「四季花鳥図」が展示されるので、さらにおススメかも。
5.0
一回で満腹になる展覧会。
トーハク、お寺、果ては、ボストン美術館からも、3点借りて、元信の全貌に迫る。
元信が参考にした中国絵画も展示してあるから、あれこれ展示数が増えて、展示替えが多くなるのもやむを得ない。
元信の功績は、真、草、行と、「画体」を確立して、誰でもそれに従えば、集団作業ができるようになった、この確立が狩野派発展の礎となったことと、土佐派が主に担っていた、やまと絵の世界にも進出して、要は、和漢両方描けるようになったことだろう。狩野派はまさに元信が礎を築いた。
5.0
本当の意味で狩野「派」にした元信。
ルネサンス期の工房のように、先人のアイデアを独自のスタイルに消化、確立していったのは天晴れの一言に尽きる。
「狩野派が出来るまで」を十分堪能しました。
5.0
なんとなくで見ていたものが、実は3つの種類にわけられて、系統だって受け継がれてきたものだと初めて知りました。キャプションでもわかりやすく書かれているのでとっても勉強になったし、「あ、コレは○○だ」とわかったりとより身近になります。
展示替えがたくさんありそうなので、通いたいとおもいます。
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