4.0
クリエイティブ思考の原点
石岡瑛子さんの展覧会といえば、2020年の現代美術館での衣装がドーンのインパクトが大きいけれど、
今回の巡回展は、印刷を牽引するDNPさんの文化施設ギンザグラフィックギャラリーgggで展開した、石岡さんが1961年に資生堂宣伝部に入社した時からの初期のクリエイティブにフォーカスしたもの。
1960年代といえば高度成長期の激動の時代、カラーテレビが普及し始めたのもこの頃。
そんな時代に女性がクリエイティブの第一線で活躍するには相当大変だったはず。
ちょうど同じタイミングで、私と同年代の女性と小学生くらいの女の子がいて、
「写真の展示会なんだね」との言葉を聞いてしまい、
いやいや、当時の写真はね、今みたいにデジタル環境が整っていないから、
容易に複数撮れるものでも加工できるものでもないのよ、
そもそも、石岡さんは芸大のデザイン科だけあってデッサンも相当うまいはずよ、
この構図もね、ポスターはアートと違って、云々、話しかけたくなったのを、グッと堪えました。
今では当たり前になっているカラー出力もそうではない時代があり、
印刷を突き詰めているDNPさんが、石岡さんのこの時代のクリエイティブを介し伝えたかっただろう創作の思考や、ものづくりの技術革新の原点に触れられ、大変勉強になった展覧会でした。