4.0
豊かな肖像のコレクション
さまざまなジャンルの西洋絵画を富士美のコレクションから概観できる本展。質の高いコレクションの数々にそれぞれの見所を見つけられる。私としては、なにより肖像芸術がおもしろかった。 メインビジュアルのナポレオン像は、よく言われるように理想化されているというが、それほど大きい作品ではないにもかかわらず、威厳と華やかさが絶妙なバランスで描出されていると感じた。そして肖像画といってとくに興味をひかれるのはやはり女性像。華やかな服飾の描写と柔らかな肌や髪の質感は目を見張る。ルージュロン《鏡の前の装い》が良かった。ピンクのドレスが描くシルエットや鏡台に向かって嬉しそうな顔をしている女性の立ち姿が印象的で、美しく装うことの喜びがこちらにまで伝わってくる。翻って、肖像といえるか怪しいが、マグリットによる林檎頭の人物像は謎めいているのに親しみを感じる。林檎はリアルな鏡ではなく、心象的な意味での鏡として機能しうるのかもしれない。… Read More



