「櫃田伸也-通り過ぎた風景」 東海地方では待望の初個展

はじめに.
「櫃田伸也-通り過ぎた風景」展が始まった。本展は、櫃田の60年以上にわたる画業を、約120点の作品と多数の資料で展観する。櫃田の描く風景は実在の風景ではない。提示されるのは、記憶の中の断片化した風景を何層にもコラージュした、抽象と具象のあいまのような不思議な風景だ。その作風は、櫃田が長らく教育者として関わった「教え子」にも強い影響を与えた。その中には、奈良美智、小林孝亘、村瀬恭子、長谷川繁、森北伸、杉戸洋、小林耕平らがいる。
通り過ぎた風景
最初の展示室は、アトリエの様子を再現した空間になっている。展示室の床はきれいな状態だが、実際のアトリエでは、様々な絵の具が飛び散っているだろう。

展示壁の横の部分にも小品が展示されている。うっかりすると見落としそうになる。絵画以外に資料やマケット類も展示されている。同じサイズのマケットが何点もあるので、同じ場所で何回も展示する機会があったのかもしれない。

1960年代から現在へ
1991年に描かれた≪通り過ぎた風景≫を見ると、画面のほとんどを濃淡の異なる水色が埋めている。垂直方向の描線が見えるので、滝のようにも見える。避暑に出かけた旅先の風景だろうか。

現在も、櫃田の制作は続いている。2026年に描かれた≪池・周辺≫は、色彩あふれる画面ではないが、穏やかな池のほとりが描かれている。余白の多い抽象的な画面に、どのような風景や物語を読み取るか。続きは、皆さんの想像力に任せよう。

展覧会名 企画展「櫃田伸也-通り過ぎた風景」
会場 豊田市美術館
会期 2026年4月4日~6月21日