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横山美術館名品展 明治・大正の輸出陶磁器 技巧から意匠へ

 何の下調べもせずに出向いた平塚市美術館。平日の午前中、来場者は思いのほか少なかった。

「ふ~ん、壺の展示かぁ。絵画の方がいいな」などと思いながら流し見する者には、壺たちは、すました顔で沈黙している。



 「あれ?この壺には猿がいる」「雀のモチーフが多いのは何故?」

 気になって、じっと眺め始めると、壺から声が聞こえるような錯覚を覚える。季節を告げる花と鳥、弁慶と牛若丸の五条大橋での出会いのシーン、大胆な構図の壺、繊細な絵付けの壺、様々なバリエーションと技巧に、いつの間にか引き込まれるように見入っている自分に気づく。

 子どもと一緒に、「どんな動物がいるかな?」「このカエルは、なんの話をしているのかな?」などと尋ねながら鑑賞したら、さぞかし話が弾みそうだ。

 


 幾何学模様のように規則正しく絵付けされた調味料入れは、よくよく見ると僧侶の集合体。緻密さの中に遊び心が隠れている。海外に輸出されたこれらの陶磁器、日本の美と技巧に、世界の人々は、どれほど度肝を抜かれたことだろう。


 最後の展示室には、オールドノリタケの作品が50点近くあり、コンディメントセットやキャンディボックスなど、お洒落で可愛いものが展示されている。ノリタケの食器が好きな私は、うきうきしてしまった。


 1階のミュージアムホールでは、展示の概要がわかる映像が放映されており、時間も5分とコンパクトだ。

 静謐な空間で、ゆったりと鑑賞でき、濃密な時間を過ごすことができた。次回の展示も楽しみである。


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