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海外で巡る芸術 2 − ポンペイ遺跡とナポリ

ヴェスヴィオ火山を背景にしたポンペイ遺跡

前回のブログに続きイタリアとなりますが、今回は少し南に下って、ポンペイ遺跡とその出土品も多く展示されるナポリの国立考古学博物館を紹介したいと思います。


シチリアを除くとイタリアの遺跡は、主にローマ近郊のオスティア・アンティカとポンペイに代表されるナポリ一帯に集中しています。フィウミチーノ空港から近い海岸沿いに位置するオスティア・アンティカは、現在は風化が進み、そこに流れた時間の長さと失われたものを想像しながら散策するのが楽しい場所。一方、ポンペイは今から約2000年前、火山の噴火により突如その歴史を閉じた古代都市。当時の街の様子がそのままの状態で保存されているのが大きな魅力です。


ナポリからポンペイまでは、電車で1時間くらいの距離。わたしは午前中にエルコラーノの遺跡に寄り道してから午後にポンペイ到着。少し高台にある門から遺跡の中に入ると、最初に目に入るのがフェロと呼ばれる古代の公共広場。その後は、遠くにヴェスヴィオ火山を望みながら広大な敷地をどこまでも歩きます。


ポンペイ遺跡は、神殿や円形劇場などのパブリックスペースと住民の居住地区の二つに大きく分かれます。この写真は、個人の邸宅の中庭。ポーズの愛らしい彫像とそれを縁取るように美しいモザイクが残っています。


こちらは秘儀荘と呼ばれる屋敷の中にあるディオニュソスの秘儀を描いたフレスコ画。遺跡の大半の出土品は、後ほど紹介するナポリの国立考古学博物館に納められていますが、このフレスコ画は遺跡内で当時の邸宅の壁を飾ります。特に印象的なのが、ポンペイの赤と呼ばれる趣深い赤色。激しさと穏やかさが同時に感じられるような独特な色味です。


歩いてみるとポンペイの遺跡には不思議な面白さがあります。例えるならば、夜間に人気のなくなった街を歩いているような感覚。道に人影は見当たらないものの、すぐ近くに生活の気配があるような。当時の街の輪郭があまりにも完璧に保存されているので、2000年前の時間がまだそこに流れているような気がしてきます。


そして個人的にとても美しいなと思ったのが、どこまでも続く石畳の道。少し日が傾き始めた時刻だったこともあり、石の影で遺跡全体がより立体的に詩的に浮かび上がります。


場所を移して、ナポリの中心部にある国立考古学博物館へ。ギリシャ・ローマ時代の彫刻を始め、周辺の遺跡からの貴重な出土品のコレクションが展示されています。


特に目を引いたのが、学生時代に世界史の資料集で見て覚えていたこの作品。ポンペイから出土したモザイク画で、アレクサンドロス大王とペルシャのダレイオス3世のイッソスの戦いを描いたもの。世界史上の一大スペクタクルを、約6×3メートルの大画面で表現した古代ロマン溢れる大作です。


海の仲間たちを、こんなに生き生きと表現した遊び心ある作品も。当時の豊かな生活と高い文化水準を垣間見ることができます。


そして最後の一枚は、ナポリの高台にあるサンテルモ城の城塞から。眼下には、太陽の光りに輝いてどこまでも青く広がるティレニア海。きっと2000年前から変わることのない光景ではないかと思います。




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sumusumu
旅好き、アート好き、遺跡好き。みなさんがどんな風にアートと関わられているのかに興味があるので、ブログをフォローするのが楽しみです!
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