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海外で巡る芸術 - ジョルジョ・デ・キリコ in ローマ

海外旅行と芸術鑑賞について素敵な投稿をされている方がいらっしゃったので、わたしも海外での芸術巡りの楽しさについて、書いてみようと思います。国内でも機会があれば美術館にはよく足を運ぶ方なのですが、旅先での芸術鑑賞はまた一味違った面白さがあるように感じています。特にそれが作家にゆかりのある土地だったりすると、その作家が生きた空気を肌で感じつつ作品にふれることができるのは、“現地を訪れて“ならではの大きな楽しみ。

昨年訪ねたのは、ローマにあるジョルジョ・デ・キリコのアトリエ。イタリアは、わたしにとって作家の須賀敦子さんの作品や画家モランディの色彩に溢れる深く優しいヒューマニズムを感じられる大好きな国のひとつ。中でもローマは、幾千年もの歴史が重なる魅力のつきない街。ふらりと散歩していて、キリコの絵に出てきそうな遺跡の断片に出くわしたり、現在と並行して歴史上の時間が流れていることを感じられる場所がたくさんあります。

キリコのアトリエは、彼が生前に30年以上住み、製作の場でもあった自宅を一般に公開しているもの。ローマ観光スポットとして人気のスペイン広場のすぐ横のアパートメントです。入ってみると、エントランスからつながるサロン・リビングルームに飾られた数々の作品はまさに圧巻。
彼が長年過ごした家の中でたくさんの作品に囲まれていると、スペイン広場の喧騒を階下に感じながらも、まるで異空間に迷い込んだような錯覚を覚えます。
そして、上の階はプライベート空間と彼のアトリエ。当時の様子がそのまま再現されているので、筆をとるキリコの息遣いが今でも聞こえてきそうな親密感があります。写真には写っていないのですが、天井は自然の光が取り入れられる仕組みになっています。
わたしが形而上絵画の創設者であるキリコやマグリットのようなシューレアリズムに代表される画家に魅力を感じるのは、言語化するのが難しいような日常の一瞬を鮮やかに切り取る感性とそれを表現するユニークな視点。一風、現実世界には存在しない物やあり得ない構図を描きながら、そこに私達が確実にこの世界のどこかで経験した感覚を蘇らせる凄さがあります。ローマの街角でふと足を止めて古代に想いを馳せるように、作品を通して埋もれていた記憶が呼び覚まされる瞬間がとても面白いと思います。

そして、わたしにとっては、旅自体もまさに日常と非日常が交錯する楽しい時間。また近々旅立てる日が来るように祈りつつ、最後は思い出のナボーナ広場の夕暮れを一枚。

プロフィール

sumusumu
旅好き、アート好き、遺跡好き。みなさんがどんな風にアートと関わられているのかに興味があるので、ブログをフォローするのが楽しみです!
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