この展覧会についてABOUT THIS EXHIBITION
大正末から昭和初期にかけて、大阪が面積・人口ともに日本一の近代都市となった大大阪時代。その最中1924年、大阪市西区信濃橋交差点に「信濃橋洋画研究所」が誕生しました。前年にそろって二科会員となった気鋭の洋画家・小出楢重、黒田重太郎、鍋井克之、国枝金三が、東京や京都に比べて芸術の実らない地とされていた大阪で、洋画家を志す者の指導を目的に開設したものです。
本研究所での講習は、デッサンや油絵などの実技と、美術史や解剖学といった講義によって構成され、ここで学生から会社勤めの者まで幅広い層が学びます。彼ら研究生以外にも門戸を開き、全国から希望者が殺到した夏季講習会や、講習成果発表の機会となった研究所展(第4回から「全関西洋画展」)などの先進的な取り組みも次々に実施し、1944年に閉鎖されるまでの約20年間に、多くの才能が輩出されました。自らが体得してきた洋画の技術を次世代に伝えるべく奔走する講師陣と、その教えを吸収しようとする研究生たちの活気ある交流によって、講師陣が目指した「大阪市にも一つの美術の花が咲く」*という文化的な土壌が、確かに醸成されていったのです。
講師の一人・小出楢重が晩年を過ごし、本研究生も集った芦屋の地で、創立から100周年の節目に開催する本展は、信濃橋に集った画家たちの作品を一堂に展観するとともに、彼らの回想や講習カリキュラムなどから、ここでの指導と学びの実態を再検証するものです。本研究所が洋画界に吹きこんだ新風と花開いた成果をご覧いただき、関西の洋画史へ理解を深めていただく機会となりましたら幸いです。
*鍋井克之が第1回研究所展に寄せた文章より(『週刊朝日』第23号、1924年11月23日、p.9)
開催概要EVENT DETAILS
会期 | 2024年6月22日(土)~2024年8月25日(日) |
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会場 |
芦屋市立美術博物館
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住所 | 兵庫県芦屋市伊勢町12-25 |
時間 | 10:00~17:00 (最終入場時間 16:30) |
休館日 |
月曜日、7月16日(火)、8月13日(火)は休館 ※ただし7月15日(月・祝)、8月12日(月・振休)は開館 |
観覧料 | 一般 800円(640円) 大高生 500円(400円) 中学生以下 無料
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TEL | 0797385432 |
URL | https://ashiya-museum.jp/ |
芦屋市立美術博物館の情報はこちらMUSEUM INFORMATION
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出展作品・関連画像IMAGES
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小出楢重《帽子のある静物》1923年 油彩、カンヴァス 公益財団法人 西宮市大谷記念美術館蔵 *第10回二科展
![](https://www.artagenda.jp/img/event/9937/main_2.jpg)
国枝金三《都会風景1(信濃橋)》1925年 油彩、カンヴァス 大阪市立美術館蔵 *第12回二科展
![](https://www.artagenda.jp/img/event/9937/main_3.jpg)
鍋井克之《鴨飛ぶ湖畔》1932年 油彩、カンヴァス 大阪市立美術館蔵 *第19回二科展
![](https://www.artagenda.jp/img/event/9937/main_4.jpg)
黒田重太郎《不老長春図》1938年 油彩、カンヴァス 星野画廊蔵 *第12回全関西洋画展
![](https://www.artagenda.jp/img/event/9937/main_5.jpg)
松井正《都会風景》1924年 油彩、カンヴァス 大阪中之島美術館蔵
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長谷川三郎《トロッコ》1924年頃 油彩、カンヴァス 学校法人甲南学園 長谷川三郎記念ギャラリー蔵 *白象会第2回展
![](https://www.artagenda.jp/img/event/9937/main_7.jpg)
小出楢重《素描(石膏デッサン)》1911年頃 木炭、紙 芦屋市立美術博物館蔵
![](https://www.artagenda.jp/img/event/9937/main_8.jpg)
信濃橋洋画研究所 開所式(1924年4月3日)前列左より鍋井克之、小出楢重。中列左より国枝金三、黒田重太郎
![](https://www.artagenda.jp/img/event/9937/main_9.jpg)
裸婦デッサンに取り組む研究生たち(1930年頃)