現代美術という標本採集
アートでも美術でもよいのだが、そこに「現代」と接頭語が付くと途端に「難解」とか「前衛」とかのイメージが同時に発生し、素人の出る幕を拒否するかのような感覚に陥る。実際そんな現代美術を目にしてきた感想もやっぱりわしには何がえー…readmore
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高橋龍太郎コレクションは、現在まで3500点を超え、質・量ともに日本の現代美術の最も重要な蓄積として知られています。本展は、1946年生まれのひとりのコレクターの目が捉えた現代日本の姿を、時代に対する批評精神あふれる作家たちの代表作とともに辿ります。
本展が手がかりとするのは、戦後世代のひとつの顔としての高橋龍太郎氏の視点です。1946年に生まれ、団塊世代の先駆けとして育った彼は、全共闘運動に参加し、文化と政治が交差する東京の60年代の空気を色濃く吸い込んだのち、精神科医としてデイケアをはじめとする地域医療の推進に尽力します。その活動が軌道に乗った90年代半ばより、彼は、日本の現代美術のコレクションを開始し、現在に至るまで、3500点を超える作品を収集してきました。高橋氏は、その動向を内側から観察し、その重要な部分を、受け手として、表現者とは異なるかたちで体現してきた存在といえるでしょう。本展では、高橋龍太郎コレクションの代名詞ともいえる、1990年代から2000年代にかけての日本の自画像のような作品群だけでなく、東日本大震災以降に生まれた新たなコレクションの流れを、時代の感覚の変化を映し出したものとしても紹介します。
高橋龍太郎コレクションの形成は、1995年に開館した東京都現代美術館の活動期と重なっています。東京という都市を拠点に形成されたこの二つのコレクションは、互いに補完関係にあるといえるでしょう。一方それは、バブル崩壊後の日本の、いわゆる「失われた30年」とも重なっています。停滞する日本社会に抗うように生み出されたこれらの作品を、高橋氏は「若いアーティストたちの叫び、生きた証」と呼びます。本展は、東京都現代美術館がこれまで体現してきた美術史の流れにひとつの「私観」を導入しつつ、批評精神にあふれる日本の現代美術の重要作品を総覧する、貴重な機会となるはずです。
◆ 出品予定作家
里見勝蔵、草間彌生、篠原有司男、羽永光利、宇野亞喜良、中村錦平、司 修、横尾忠則、赤瀬川原平、森山大道、荒木経惟、合田佐和子、立石大河亞、山口はるみ、菅 木志雄、空山 基、西村陽平、東恩納裕一、舟越 桂、森村泰昌、大竹伸朗、岡﨑乾二郎、O JUN、小林正人、前本彰子、根本 敬、奈良美智、柳 幸典、鴻池朋子、太郎千恵藏、村上 隆、村瀬恭子、∈Y∋、会田 誠、大岩オスカール、小沢 剛、ヤノベケンジ、天明屋 尚、千葉和成、西尾康之、やなぎみわ、小出ナオキ、加藤 泉、川島秀明、Mr.、山口 晃、岡田裕子、町田久美、石田尚志、小谷元彦、風間サチコ、塩田千春、蜷川実花、池田 学、三瀬夏之介、宮永愛子、華雪、加藤美佳、竹村 京、束芋、名和晃平、玉本奈々、国松希根太、竹川宣彰、できやよい、今井俊介、金氏徹平、工藤麻紀子、鈴木ヒラク、今津 景、小西紀行、小橋陽介、志賀理江子、千葉正也、毛利悠子、青木美歌、桑田卓郎、梅津庸一、大山エンリコイサム、坂本夏子、BABU、村山悟郎、森 靖、松井えり菜、松下 徹、やんツー、青木 豊、梅沢和木、佐藤 允、谷保玲奈、DIEGO、弓指寛治、近藤亜樹、庄司朝美、水戸部七絵、ナイル・ケティング、川内理香子、涌井智仁、ob、藤倉麻子、村上 早、BIEN、石毛健太、名もなき実昌、土取郁香、山田康平、友沢こたお、山中雪乃、Chim↑Pom from Smappa!Group、SIDE CORE / EVERYDAY HOLIDAY SQUAD、KOMAKUS、中原 實*、久保 守*、八谷和彦*
(*は東京都現代美術館蔵)
会期 | 2024年8月3日(土)~2024年11月10日(日) |
---|---|
会場 |
東京都現代美術館
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展示室 | 企画展示室 1F/B2F |
住所 | 東京都江東区三好4-1-1 |
時間 |
10:00~18:00
(最終入場時間 17:30)
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休館日 |
月曜日、8月13日、9月17日、9月24日、10月15日、11月5日 ※ただし8月12日、9月16日、9月23日、10月14日、11月4日は開館 |
観覧料 | 一般 2,100 円(1,680円) 大学生・専門学校生・65歳以上 1,350円(1,080円) 中高生 840円(670円) 小学生以下 無料
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TEL | 03-5245-4111 (代表) |
URL | https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/TRC/ |
アートでも美術でもよいのだが、そこに「現代」と接頭語が付くと途端に「難解」とか「前衛」とかのイメージが同時に発生し、素人の出る幕を拒否するかのような感覚に陥る。実際そんな現代美術を目にしてきた感想もやっぱりわしには何がえー…readmore
5.0
クセ強すぎる作品をこれでもかと拝見しお腹いっぱい。
草間彌生でぐいっと掴まれ、森山大道の犬に再会の挨拶。村上隆、会田誠、山口晃を堪能し西尾康之にド肝を抜かれる。
次は何が現れるかとドキドキの連続だ。
沢山の作品の中でお気に入りを見つける楽しさを存分に味わった。
私の一番は青木美歌の「Her songs are floating」廃車にガラスの粘菌が神秘的。車の中にまで。
そして、同じフロアの鴻池朋子の「皮緞帳」にもスケール、色彩に圧倒される。
それぞれの個性とエネルギーの爆発に浸りたっぷり2時間費した。
会場出てミュージアムショップの奥のホワイエにも名和晃平、蜷川実花の作品が有るのでお忘れなく。
4.0
どこかのWeb記事で森靖展を知り、デカイなー、見たいなーと思って開催場所を調べたら安曇野の碌山美術館。気軽に行くにはハードルが高い。地理的には関西より近いけど、利便性や合理性を考えると遠すぎる…。
そこで、東京で森作品が見られるところを探したら、高橋コレクション展で1点出品されてるじゃないですか!
高橋コレクションは昨年WHAT MUSEUM(寺田倉庫)で小規模な展覧会を見たので今回はスルーしようと思っていたんですが、そういうワケで行ってきました。
さすがに3,000点もお持ちだと、ほとんどダブりませんね。
まずは草間彌生作品。これだけ並べられると、時価総額をはじき出したくなりますね。銀座にある草間作品だけを扱うギャラリーでは価格が表示されているので、ついそんなことを考えましたが、作品を見て引き込まれました。
水玉のかぼちゃに飽きた目には、1970年に発表された金網を使った「シャロン・テイト」がすごく新鮮に見えました。色も相まってハチの巣のように見える水玉、水玉に描かれた細かい線から集中力の高さを感じました。
そして、会田佐和子の作品。こちらは昨年三鷹でやっていた展覧会を見に行こうかどうしようか考えているうちに終わっちゃったので、ここで会えるとは!という感じで見入ってました。
大きい作品はいいですね。西尾康之の「Crash セイラ・マス」はどの角度からも見応えあり!全体のフォルムも細かいディテールも作りこまれていて、写真を撮りまくりました。
お目当ての森靖の「Jamboree-EP」は予想以上にデカかった。大きさや表情から、まるで大仏を見るような気持ちになりました。
会田誠の「紐育空爆之図」の展示は必ずビール瓶のケースに載せることになってるとか、小ネタも知れて楽しかったです。
個人のコレクションは好みが出やすいものですが、高橋コレクションは幅が広すぎて好みを感じませんね。「出始めの作家を応援する」スタンスなのかな(笑)
5.0
現代アートを見るとき、何がこの作品を作らせたのかなーと作家さんの魂のありかを見に行く感じがします。会田誠、山口晃、奈良美智、池田学など私の好きな画家の若き日の作品を見ることができて面白かったです。コレクターの高橋龍太郎さんも精神科のお医者さんということで、「日本の今」を見たいという動機で集めていらっしゃるとのことでした。素敵なものが多いけど、素敵じゃないなーと思うのも結構あって、自分の心のリトマス試験紙みたいな感じでした。草間彌生さん、あまり好きじゃないと思っていたけど、初期の作品から見ていると、結構好きになってしまいました。マカロニガールがよかった!
5.0
コレクションの凄さは耳にしていたが、圧倒的な質と量に愕然とする。
個人コレクション総数が3500点を超えているってなんなんだ!MOTのコレクションだって5800点だよ……。
草間彌生から始まり、合田佐和子、横尾忠則、村上隆、会田誠、山口晃等々のお歴々が並ぶ。会田誠作品なんか巨大だ。もうこの後からは、挙げていっても切りが無い。現在注目されている現代作家のオンパレード。途中から個人コレクションだということを忘れてしまうほどの充実ぶり。どこかの美術館が企画しても難しいのでは……。
章の形成の仕方も理解しやすくとても鑑賞しやすい。〈歴史的に〉とか〈潮流としてとか〉いうのではない、「私観」のキュレーションがとても気持ちいい。日本の現代美術を確かな形でつかみ取ることができる展覧会だ。
個人的には、これだけの数があるのに、9割は私の好きなタイプの作品が多かったのは嬉しかった。特に青木美歌・舟越桂・塩田千春の作品が観られたのは嬉しい。山中雪乃、友沢こたお、水戸部七絵、川内理香子なんて、つい最近ギャラリーで観てきたばかりじゃ無いか…と思ったりもしたw。名和晃平、蜷川実花なんて、入りきらずにショップ横に溢れているじゃ無いか〜。
皆さんが書いていたけど、鑑賞時間はたっぷりご用意を。会場もささくれだって展示室があるので見逃し無きよう。
一番の疑問はこれだけのコレクションをどう保管してどう愛でているのか。
9月25日(水)11時入館。混雑は無いけど狭い武部分があるので、そこは注意。第1章と数点以外は撮影可。
5.0
これはすごい、現代アート入門編としても、上級者向けとしても、各論としても、総論としても、ともかく、ここにすべてを見渡すキーとなる作品群が展示されている。個々の作品はレベルが高いものが多いばかりでなく、キュレーション、展示も見事。見逃してはいけない展覧会だと思う。
4.0
1979年に合田佐和子のB5サイズほどの小さな《グレタ・ガルボ》を約5万円で、勤務医の決して多くはない月給のなか、月賦で買うことから始められて、ここまでスゴいコレクションを育まれたとのこと。驚嘆します。
コレクションの核・土台を形成するに至った草間彌生の作品群で展示はスタートするのですが、基本的には若手作家の初期作品を中心に購入なさってきたそうです。今となっては著名な作家の数々、日本の現在美術の歴史にも近いといえる、幅・奥行きです。
今後もコレクションは一段と育ってゆくのでしょう。展覧会タイトルに「私観」と謳ってます。作品単体もさることながら、形成過程も含めたコレクション全体としての価値に思いを寄せざるを得ません。末永く後世に、どのように残し、伝え、見せてゆくことになるのでしょうか。既に高橋氏にはお考えあることかと拝察しますが、切望も含めて実に気になります。
鑑賞時間は約2時間半、エネルギーをたっぷり使って楽しみました。余韻冷めやらず、です。
4.0
高橋龍太郎コレクション、いやースゴイ!
一般的な知名度も非常に高い超有名アーティストから、現在進行系の初見の若手アーティストまで
主要作家はほぼ網羅しているんじゃないかという拡がりに驚嘆。
常に最新の動向にも目配りして作品収集を今も継続する姿勢にも感嘆。
ミュージアムのコレクションとはまた違った正に私観というべきコレクション遍歴が面白いです。
そして巨大な作品も多くてコレどこに保管しているのというデカさ。
第1章と撮影NGマークのある作品以外は写真撮影可能でした。
今都内で最も面白くて刺激的な展覧会の一つだと思います。
鑑賞時間をたっぷり確保してどうぞ!当日中であれば再入場可能です!
4.0
以前も高橋コレクション展を見たことがあって、そのときも個人コレクションとは思えない質に驚いたのですが、今回の展示では再度、驚かされることになる。質はもちろんだけど、量も圧倒的。この30年ぐらいの日本の現代美術の先端を圧縮して見せられた感じです。草間彌生から始まり、村上隆を通過して、SIDE COREに到達する、という感じ。最後がストリート・アートで閉めるというのが◎。
展示の80%までは、よく知っている作家の作品が並んでいたので、とても懐かしい感じで見ました。この作品は高橋コレクションに入ったのか、という感じ。最後の方は、名前は聞いたことがあるけど、実物は初めて見る作家がいて、なかなか刺激になりました。
まあ、個人的には、これだけの物量をどこに保管していたんだろう、という感じ。今回の展示作品では、6mの高さがある小谷元彦の《サーフ・エンジェル(仮説のモニュメント2)》とか、鴻池朋子の幅24mある《皮緞帳》なんて巨大な作品があるので、気になるところ。そして、今回展示されていない、高橋コレクションにはどんな作品があるのか、また高橋コレクションに入らなかった作品にはどんなものがあるか、といったことが気になります。
写真撮影は一部不可。カタログは制作中で版元は国書刊行会。残念なのは作品が多すぎて通路が狭いこと、そして出展リストが見当たらないこと。
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会田 誠《紐育空爆之図(にゅうようくくうばくのず)(戦争画RETURNS)》1996年、H.174×W.382 cm
零戦CG 制作:松橋睦生
© AIDA Makoto, Courtesy of Mizuma Art Gallery
撮影:宮島径
草間彌生《かぼちゃ》1990年 H.130×W.162 cm
© YAYOI KUSAMA
画像転載不可
村上 隆《ズザザザザザ》1994 年 H.150×W.170×D.7.5 cm
© 1994 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
奈良美智《Untitled》1999 年、H.240×W.276 cm
© NARA Yoshitomo, courtesy of Yoshitomo Nara Foundation
小谷元彦《サーフ・エンジェル(仮設のモニュメント2)》2022 年 H.560×W.423×D.376 cm
© ODANI Motohiko Courtesy of ANOMALY
Photo: Hidehiko Omata
鈴木ヒラク《道路(網膜)》2013 年 H.240×W.600×D.9.7 cm
「高橋コレクション展 マインドフルネス!」展示風景(2013 年、鹿児島県霧島アートの森)
Photo: Mie Morimoto
SIDE CORE / EVERYDAY HOLIDAY SQUAD《rode work tokyo_ spiral junction》2022年 H.199×W.305×D.305 cm
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加藤 泉《無題》2004年 H.205×W.56×D.52 cm
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