5.0
超現実の碧空
シュルレアリスム絵画は、モチーフが反復されている。空の下の(開けた)空間に非現実的なオブジェが存在するというものだ。よって展示は様々な空の博覧会となっていた。白みかけた夜明け前の空、濡れたような夜空、雲が浮かぶ日中の空、黄みがかった夕方に近づいた空、不穏な紅い空……。空好き(?)にはたまらない展覧会となっている。特に山本昌尚の「作品」という作品では、油絵の具の紺碧の空が照明の光でキラキラと輝き、空だけどさざ波のように見えてきれいだった。
山に茂る黒黒とした針葉樹林、田んぼの水面に映る空など、故郷の風景が心に残り、何気ないきっかけで思い出されるように、絵画の中の非現実の風景が心の中に蓄積されていって、これから先の人生のふとした瞬間に蘇るような気がした。