5.0
みんな凄いw―ちいさな眼福の茶道具たち―
タイトル通りの眼福な茶道具を集めた、特に茶道と歴史好きにはどストライクな展覧会です。
茶道具の歴史は室町→戦国末期の武将たちのエピソードてんこ盛りですが、その歴史事実の片鱗が解説にあちこち散りばめられて
気になる時代の人物に都度思考が飛んでいきそうなラインナップ。
休日午後の訪問でしたが、比較的空いていたのでじっくり作品を堪能できました。
メインの展示はお茶碗、棗なつめ、天目台てんもくだい、水指みずさし、香合こうごう等の茶道具の銘品たちですが、
展示タイトルの横にキャッチコピーと解説があって、知恵袋的な感覚で展示に引き込まれていきます。
一番の大注目は【大名物 唐物茄子茶入「付藻茄子つくもなす」南宋~元時代(12~13世紀)】。直径7cmくらいの色々凄い茶入れです。
(九十九つくも)銘は、室町時代の茶人、村田珠光が購入額九十九貫(現在の価格だと7~800万円くらい)に因んだんだとか。
更に後年、何回も主君を裏切る戦国武将、松永久秀が入手する時は千貫(=8000万円近い!!!)になったいう凄い茶入れです。
歴史も凄くて中国・南宋~元時代作から海を渡って日本へ。
室町幕府の金閣寺作った足利義満を皮切りに所有者を次々に変え、松永久秀から織田信長⇒豊臣秀吉という天下人の手に行きつきます。
その後は大坂夏の陣で落城する大坂城と運命を共に。。。映画が出来そうな遍歴です。
しかし落城で終わりではないです。ここからがもっと凄い。
豊臣家を殲滅した徳川家康は、天下の名品である茶入れを自分が瓦礫にした大阪城から見つけて持って来いという
けっこうなパワハラ命令を下します。そして発見された茶入れ(城の瓦礫から直径7cm以下の品をよく見つけましたよね)は当然ながら粉々に割れていました。
そこで漆職人の親子に修復を命じ、おおよそ3か月をへて復元➡家康に献上されたとの事です。
表面は完全に漆なのですが、つるんとした艶肌は陶器にしか見えないです。修復技術がほんとに凄い。。。
作品名のすぐ下に、持ち主の変遷が書かれているのも色々妄想が捗り素晴らしいです。
もう終了してしまいましたが、常設にもありますので訪問大推奨です。