3.0
なんと素敵な風俗画
一徴を風俗画だけで語ってしまうのは乱暴だけれど、やはりそこには興味が尽きない。
日本画の場合、どうしても照明が暗くなってしまうので、単眼鏡はあった方が良かった。
学芸員さんのレクチャートークも聞けて良かったです♪
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英一蝶(はなぶさいっちょう 1652~1724)は元禄年間(1688~1704)前後に、江戸を中心に活躍した絵師です。はじめは狩野探幽の弟・安信のもとでアカデミックな教育を受けますが、菱川師宣や岩佐又兵衛らに触発され、市井の人々を活写した独自の風俗画を生み出しました。
この新しい都市風俗画は広く愛され、一蝶の画風を慕う弟子たちにより、英派と呼ばれる一派が形成されます。他にも、浮世絵師・歌川国貞のように一蝶に私淑した絵師は多く、後世にも大きな影響を与え続けました。また、松尾芭蕉に学び俳諧をたしなむなど、幅広いジャンルで才能を発揮しています。
加えて、その波乱万丈な生涯も人気に拍車をかけました。一蝶は元禄11年(1698)、数え47歳で三宅島へ流罪になるという異色の経歴を持ちます。宝永6年(1709)、将軍代替わりの恩赦によって江戸へ戻りますが、島で描かれた作品は〈島一蝶〉と呼ばれ、とくに高く評価されています。そして江戸再帰後は、「多賀朝湖(たがちょうこ)」などと名乗っていた画名を「英一蝶」と改めました。
2024年は一蝶の没後300年にあたります。この節目に際し、過去最大規模の回顧展を開催します。瑞々しい初期作、配流時代の貴重な〈島一蝶〉、江戸再帰後の晩年作など、各地に残る優品を通して、風流才子・英一蝶の画業と魅力あふれる人物像に迫ります。
【FEATURE|内覧会レポート】
江戸の浮き世を自在に生き抜いた英一蝶の画業を総覧する大回顧展
会期 |
2024年9月18日(水)~2024年11月10日(日)
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会場 | サントリー美術館 Google Map |
住所 | 東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3階 |
時間 |
10:00~18:00
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休館日 |
火曜日 11月5日は18:00まで開館 |
観覧料 | 一般 1,700円(1,500円) 大学・高校生 1,000円(800円) 中学生以下 無料
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TEL | 03-3479-8600 |
URL | https://www.suntory.co.jp/sma/ |
3.0
一徴を風俗画だけで語ってしまうのは乱暴だけれど、やはりそこには興味が尽きない。
日本画の場合、どうしても照明が暗くなってしまうので、単眼鏡はあった方が良かった。
学芸員さんのレクチャートークも聞けて良かったです♪
4.0
東京国立博物館などで、花鳥画の描き手として名前は知っていました。絵も結構好みなので、まとめて見たいなと心の中で思っていました。なるほどおもしろい絵を描くのはそういう背景があったのでね、ということがわかりました。一緒にお酒を飲んで、絵を描いているところを見てみたいと思いました。きっと楽しいだろうなぁ。
4.0
ボケーと見て回るだけでも楽しい
やはり流罪になっていた島一蝶時代の作品がとても好み
生き生きと描かれた風俗画は
どこからどう見ても面白いし興味深い
帰還後の作品も
雨宿り図等「面白い」ものがあり
最初から最後までたっぷり楽しむことができた
会場内はやや混雑してたけど
滞留はほぼなくするすると鑑賞できたのも良かった
4.0
超腕の立つ絵師であることは誰の目にも明らか。仕事は精緻精密にして、静謐、躍動、諧謔、と何でもござれ。島流しされるような方なので、さぞや、才能ほとばしり、人にも好かれ、破天荒な人物だったのでしょう。
展示は年代順に、画名の変遷になぞらえた三章建て。
色々な画風があるが、なかでも遊び心たっぷりの風俗画に惹かれます。
その点では、第2章「島一蝶時代」の作品が面白い。三宅島流刑時代のもの。他の時期にもましてこの時代の作は、略ほぼ個人蔵。よく集めて頂きました。
吉原がらみで流刑となった身にして、江戸の知人からの発注で描いた《吉原風俗図巻》、即ち吉原行きガイドブック。反省とか自粛とか無し。小舟に乗り込み吉原に向かうシーンから始まるが、旦那は舟上で身を隠す姿で描く。こういうリアリティ描写が実に小粋だ。
第3章「英一蝶時代」では、本人は風俗画から離れる決意をし、仏画、花鳥画、風景画、物語絵などに取り組んだと説明されている。確かにそうだ、狩野派画風への回帰もみられる。正直、少しつまらないなあ、とも思うのだが。でも、よく目を凝らすと、細かい所で遊んでいます。時折に当世風俗を配する絶妙なバランスが実に良い。
《大井川富士山図》、富士の大きな風景画。川を渡る人々は豆粒大に描かれるが、仕草が実に滑稽でリアル。
メトロポリタン蔵の《舞楽図・唐獅子図屏風》、ひときわ目立つ力作・豪華大作が海外所蔵でさびしい。右隻中央の獅子が上目遣いで笑みが浮かぶように見える、これも遊び心なのか。
「雨宿り」の作品は、前期は4作が揃う。東博とメトロポリタン、見較べられて楽しい。これは本展の目玉のひとつ。すっきりさせた東博が完成版、とされるが、メトロポリタン版の少しごちゃごちゃ賑やかさの方が、雨宿り情景画としては好みかな。それにしても精密だ。
本展は前後期の入替がかなり多い。場面替も含めると8、9割。
「風流才子、浮世を写す」のサブタイトルは、一蝶らしい小粋さがあり素敵です。
5.0
「英一蝶―風流才子、浮き世を写す」展、行って来ました。驚きました。お名前くらいは聞いたことがあり、作品も少しは観たこともあったのに、こんなに凄い方だったとは‥。とにかくめちゃめちゃ絵が上手いです。良く知られる風俗画は勿論なんですが、美人画も風景画も花鳥画も、歴史画までも、何でも描いて何でも上手いです。それから俳句の号も幾つもお持ちで、和歌川柳も漢詩もお出来になった‥。書もおやりになっています。なんなのこの人!! です。今回没後300年を記念し、過去最大規模の回顧展なのだとか。
入館していきなり「睡猫図」かわいい!!(笑) 画帳ものが多く、豪華な造り‥。きっと良いパトロンさんがいたのですね。
「英一蝶」は江戸中期に、主に江戸で活躍した絵師さんで、はじめは狩野派の伝統的な絵を学びましたが、浮世絵などの影響もうけて、街の人々を描き、それが実に生き生きと表示用豊かでユーモアにあふれていて、魅力的です。当時は「多賀朝湖」を名乗っていたそうです。はっきりした事情は分かっていないらしいのですが、諸説作品か行動の何かかが、お上のお怒りを買ってしまったらしく、島流しになりますが、それでも、描く勢いは変わらず、支援者からの注文に応じたり、村人に仏画など描いたりして暮らしを立てつつ、多くの作品を生み続けます。将軍代替わりの大赦によって許され江戸に戻ってからは、荘子の「胡蝶の夢」より「英一蝶」を名乗り、73歳で亡くなるまで、とても沢山の作品を残したそうです。晩年の画号が「北窓翁」となっていました。各方面に交友も広く(後援者らは多く、文化人や趣味人では、絵師・俳人はもとより、漆芸家や金属工芸作家らに、能狂言師とも親交)、そのことからも、一蝶の人となりもうかがえるように思います。描く作品同様に、肩の力の抜けた、教養もユーモアもあり、余白が生きた雰囲気のお人と、勝手に思っています。個人的に《雨宿り図》が何点かありましたが、どれも好みでした。
今回は階段下3Fホールの舞楽図・唐獅子図屏風のうち舞楽図のみ写真撮影可となっていました(裏面唐獅子図はダメです)。一部を除いてほとんどが前後期の展示替え有です。サントリーさん所蔵のものはあまりありません。きっとこれだけの作品が集まることは、もうそうはないのでは? 今展、マイナーな気がしていましたが、平日の昼前、観覧者もそこそこに入っていま… Read More
5.0
個人蔵が多い作家の為か今回の回顧展はとても貴重。
才能豊かで俳句も良くし芭蕉や其角と交友した一方、幇間として将軍綱吉の母、桂昌院との一悶着など派手でスキャンダラスな人物だ。
そんな彼が筆を取れば花鳥画から仏画まで一流の出来。さぞかしファンが大勢居たことだろう。
島流しになっても注文が後を絶たないとはさすがだ。
今回は「雨宿り図」が四点も揃う。
それぞれ少しづつ違い比べるのが面白い。
人々の装束や動きは東博が面白いがMETは低く翔ぶ燕と花売りの花が美しい。
一蝶の人々はとてもお喋り好きだ。
そして皆よく動く。
馬や獅子も力強く跳ね、七福神も歌って踊る。
所々滑稽な場面が有るのは幇間でも発揮した才の現れだろう。
後の絵師に多大な影響を与えたところだろう。
10/16からの後半には「乗合船図」「布晒舞図」「四季風俗図屏風」が見たいので再訪予定。
重文の「四季日待図巻」は現在、出光美術館で展示中なのでお勧めだ。
図録では巻頭の安村敏信氏の文が良い。また、解説が丁寧になされ、特に俳句の解説が楽しめる。
個人蔵や他館の作品が多いからか撮影は1箇所のみ。関連の絵はがきなども無い。
人物が細かいのでアートスコープが有ると便利。
5.0
良かったです!
個人蔵が多く、「雨宿り図」は複数あり、ちょっとずつ違いますがどれも描かれている人物の仕草が楽しかったです。
流刑地としての伊豆諸島の解説もあり、刑罰によって流される島が違うことにへぇぇ。
絵画だけでなく俳句や一蝶の交流関係の紹介もあり、一蝶の生涯をたどれました。
濃密な狩野派風の絵よりも、のびのびとした筆さばきと淡い色彩のの風俗画に惹かれました。
傘の破れ目からえらくまじめな表情でこちらを向いている老人、ぶさかわいい犬、などなど、軽妙洒脱の言葉がぴったりでした。
ところどころにある一言解説にくすっ。キューレーターのみなさんも、ノリノリですね。
メトロポリタン美術館から里帰りの「舞楽図・唐獅子図屛風」は、両面から鑑賞できるようにガラスケースの背面がとりはらわれていて、びっくり。濃厚な「舞楽図」はよくこんなに描いたなぁと感心し、筆が生き生きと走る「唐獅子」は獅子の表情が愛らしかったです(個人的には唐獅子のほうが好き♪)。舞楽図のみ、写真撮影可でした。
展示替えもあるので、これは後期もいかなくては(笑)
4.0
英一蝶、充実の回顧展でした!
画業初期の頃からずっとイイ絵を描いていて特に市井の人々に取材した作品が良いです。
小さい画面の作品が多いのですが大作でも独特の軽みがあるのが良いですね。
軽妙洒脱というのか、一蝶の大らかさが鑑賞者にある種の心地よさを感じさせるのだと思います。
更にメトロポリタン美術館、個人蔵の作品が多数出品されているのが嬉しい。
雨宿り図は東博本とMET本が見比べられますがMET本の方が力が入っていて出来が良いし、
英一蝶の最上級の作品は海外のミュージアムにあるのだなぁとちょっと悔しい。
METの屏風絵一点が写真撮影可能。展示替えも追いかけます!
ちなみにパネル展示の重文絵巻は現在出光美術館に展示されています。
出光もかなりスゴイ展覧会なので日比谷線でハシゴも良いと思います!
5.0
敬愛する英一蝶の展覧会はこれまで、板橋区立美術館が複数展覧会を開催してくれましたがサントリー美術館で開催してくれるとは嬉しい限りです。国内の美術館、博物館から作品が集結、特に大倉集古館蔵の雑画帖10場面以上がっつり展示は見所です。初公開も含む個人蔵の作品も多数、メトロポリタン美術館と東博蔵の雨宿り図屏風の比較展示も前期の見所の1つです。後期は遠山記念館蔵の代表作も展示されるのでまた行く予定です。
5.0
狩野派といっても久隅守景と英一蝶は狩野姓の人たちとはテイストが違うので、どんな展覧会になるのかすごく楽しみにしていました。期待通りでしたよ!
前・後期で6割くらい作品が入れ替わりますが、メトロポリタン美術館から来日している2作品は通期展示なのでご安心を。
前期の見どころは
①トーハクとメトロポリタンの「雨宿り図屛風」が2点同時に展示されている。
②新出の「釈迦十六善神図」が素晴らしい!
の2点でした。
まず①。構図も登場人物もよく似ているんですが、細部がちょっとずつ違うんですよ。
どっちが好みか、何度も2作品の間を行き来したんですが、どっちにも可愛らしい表情の人物がいて、甲乙つけがたい。
いろんな職業の人が雨を避けながら軒下に集まっているだけなのに、一期一会の仲間意識が芽生えているような感じ、ですかね。現代でも同じような場面がありそうで、納得感のある作品です。トーハク本は前期のみです。
②は状態がとても良くて、300年前のものとは思えない発色です。
釈迦と菩薩の衣装の細やかな模様、十六善神+αの鮮やかな描き分け、ぎっしり描き込まれているのに、不思議と調和している。仏画だからなのか、この作品の存在のせいなのか、見ていると「ありがたい」気持ちになってきます(笑)
通期展示の「舞楽図・唐獅子図屛風」は両面を見られるように置かれています。吹き抜け側と展示室側の両方がガラスになっていて、いつもと違うケースの構造にまずビックリしました。
舞楽図は一人ひとりの動きと表情が面白くて、どんな踊りなのか興味をそそられます。淡い色合いの作品が多い中での金屛風はインパクトが大きいです。
島流しになっても吉原の風俗画を依頼されて描くあたりは幇間の面目躍如といったところなのか、大吉原展にも出ていた「吉原風俗図巻」も展示されています。
図録を見たら、後期展示への期待がさらに膨らみました。必見です!
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