この展覧会についてABOUT THIS EXHIBITION
洋画家・宮本三郎(1905-1974)の画業を振り返ると、めまぐるしいほどの画風の変遷に驚かされる一方で、ひとつの主題をさまざまなヴァリエーションで描いていたことがわかります。たとえば1930年代半ば頃の、浴衣をまとった女性を描いた作品では、背景に配したテキスタイルや金魚鉢など、マティスの影響を思わせるモティーフが共通する作例が複数存在します(《金魚鉢と女》1936年/《(室内裸婦)》1937年)。それらは同じ画題を描きつつも、モデルのボーズや構図、あるいはカンヴァスの寸法そのものにも違いがみられるなど、宮本の創意工夫と試行錯誤の跡がみてとれるものです。
ほかにも、同じセッティングで裸婦を描きつつ、抽象化の度合いを幾通りか試した1950年代の一連の作品や(《画室の裸婦》1954年/《裸婦》1954年)、同一のモデルに同じようなヘアスタイルやポーズをとらせながらも(《青い背景》1960年頃/《(婦人像)》1960年頃)、全体をまとめる色調を赤、青、緑などに変えて制作を重ねるなど、画面上に変化をもたらす実験的な試行の痕跡がうかがえるものもあります。
これらは単に本作と習作といった関係性にとどまらず、画家の創造のヴァリエーションとして、また、宮本の探求心の表れとして、鮮やかな印象を放っています。宮本が制作の拠点とした、アトリエ兼住居に遺された作品群をまとめて収蔵する宮本三郎記念美術館ならではの彼の着想そのものに触れることのできるコレクションといえるでしょう。宮本三郎の旺盛な探求心によって展開される、絵画の変奏曲をお楽しみください。
開催概要EVENT DETAILS
会期 | 2023年10月7日(土)~2024年3月10日(日) |
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会場 | 世田谷美術館分館 宮本三郎記念美術館 Google Map |
住所 | 東京都世田谷区奥沢5-38-13 |
時間 |
10:00~18:00
(最終入場時間 17:30)
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休館日 |
月曜日、10月10日(火)、 2024年1月9日(火)、2月13日(火) 年末年始 12月29日(金)~2024年1月3日(水) ※ただし10月9日(火)、 1月8日(月・祝)、2月12日(月・振) |
観覧料 | 一般 200円(160円) 大高生 150円(120円) 65歳以上・中小生 100円(80円)
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TEL | 03-5483-3836 |
URL | http://www.miyamotosaburo-annex.jp/ |
世田谷美術館分館 宮本三郎記念美術館の情報はこちらMUSEUM INFORMATION
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