5.0
埋もれていた蘭画
教科書で何度も目にしたことがある解体新書の表紙画。それが、江戸から遠く離れた秋田の武士だった小田野直武が担当したものとは、今回初めて知りました。当時の日本画とは、全く違う画風にびっくり。そして、短期間で終息を迎え、その後歴史の奥に埋もれてしまったという事実も、興味をそそられました。見に行って、よかった。
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江戸時代半ばの18世紀後半、秋田藩の若き武士たちによって西洋と東洋の美が結びついた珠玉の絵画が描かれました。
「秋田藩士が中心に描いた阿蘭陀風(おらんだふう)の絵画」ゆえに現在「秋田蘭画」と呼ばれており、その中心的な描き手が、小田野直武(おだのなおたけ・1749~1780)です。本展は直武の画業を特集し、秋田蘭画の謎や魅力を探ります。
小田野直武の名を知らずとも、『解体新書(かいたいしんしょ)』の図は誰しも見たことがあるでしょう。直武は、秋田藩の角館(かくのだて)に生まれ、幼い頃より絵を得意としたといわれています。安永2年(1773)に平賀源内(ひらがげんない・1728~1779)が鉱山調査で秋田藩を来訪したことをきっかけとして江戸へ上った直武は、源内のネットワークを通じて蘭学者に出会い、安永3年(1774)に『解体新書』の挿絵を担当しました。
江戸では、ヨーロッパの学術や文化を研究する蘭学がまさに勃興し、また、南蘋派(なんぴんは)という中国由来の写実的な画風が流行していました。江戸に出て7年後の安永9年(1780)に数え年32歳で亡くなるまで、直武は西洋と東洋という2つの世界に挑み、東西の美を融合させ、新しい表現を目指したのです。その画風は、第8代秋田藩主の佐竹曙山(さたけしょざん・1748~1785)や角館城代の佐竹義躬(さたけよしみ・1749~1800)らへも波及しました。
主に安永年間(1772~1780)という短い制作期間ゆえに現存作品は少ないながらも、実在感のある描写、奥行きのある不思議な空間表現、プルシアンブルーの青空など、秋田蘭画は今なお斬新で驚異に満ちています。
本展では、小田野直武、佐竹曙山、佐竹義躬ら秋田蘭画の代表的な絵師を特集します。あわせて、直武に学んだとされる司馬江漢(しばこうかん・1747~1818)が描いた江戸の洋風画などもご紹介します。
東京で秋田蘭画と銘打つ展覧会は、2000年に板橋区立美術館で開催された「秋田蘭画~憧憬(あこがれ)の阿蘭陀~」展以来、16年ぶりとなります。当館は、「美を結ぶ。美をひらく。」というミュージアムメッセージを活動の柱としてまいりました。江戸時代に洋の東西の美を結び、そしてひらいた直武らによる、日本絵画史上たぐいまれなる秋田蘭画の精華をご覧ください。
会期 |
2016年11月16日(水)~2017年1月9日(月・祝)
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会場 | サントリー美術館 Google Map |
住所 | 東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3階 |
時間 |
10:00~18:00
(最終入場時間 17:30)
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休館日 |
火曜日 ※1月3日(火)は18時まで開館 ※12月30日(金)から1月1日(日・祝)は年末年始のため休館 |
観覧料 | 【当日】 一般 1,300円 大学・高校生 1,000円 【前売】 一般 1,100円 大学・高校生 800円
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TEL | 03-3479-8600 |
URL | http://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2016_5/ |
5.0
教科書で何度も目にしたことがある解体新書の表紙画。それが、江戸から遠く離れた秋田の武士だった小田野直武が担当したものとは、今回初めて知りました。当時の日本画とは、全く違う画風にびっくり。そして、短期間で終息を迎え、その後歴史の奥に埋もれてしまったという事実も、興味をそそられました。見に行って、よかった。
4.0
秋田蘭画というものは初めて耳にするものでした
解体新書の表紙の絵が小田野直武によってかかれていたとはびっくりです
以前東洋文庫で見たのですが絵の作者までは見ていませんでした
近景の写実と遠景の幻想的なそれでいて細かい描写がなんとも不思議な感じをかもしだしていました
秋田蘭画という流れが平賀源内の死とともに消えていった感じで当時の幕府と地方の大名の関係がかいまみえるようでした
5.0
秋田蘭画っていうとビビッド的なちょっと濃い目の色使いにリアルな人間の顔、っていうイメージでしたが、実際は写生画がたくさんで、本当に美しかったです医。
色彩感覚がふしぎというか、穴の開いた青い岩とか、「岩+花」のくみあわせとかと特徴的でしたが、その不思議な世界観に引き込まれて何度も見に行っています。
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