この展覧会についてABOUT THIS EXHIBITION
森山大道「大阪+」
二十歳少しまえのぼくの日常は大阪だった。
その頃の大阪、その頃のぼくをいま思い返すと、それはほとんど絵空事として瞼に映るばかりだ。当時若いぼくにとって、心の針はひたすら東京へと指しつづけていた。そして現在、ぼくの心の針は再びぐるりと回転し、大阪の街へと立ち戻りつつある。それは、大阪に生まれたぼくの郷愁であろう。ただ、レンズの向こうに映る大阪の街頭は、いまも相変わらずしたたかで、いとも簡単にもくの郷愁を裁ち切ってしまう。
入江泰吉「文楽」
満州事変の起こった昭和8年、入江は大阪で「光藝社」の看板を掲げて写真展を開きます。昭和15年に入江の出世作となった「文楽」によって、世界移動写真展で一等賞、日本写真美術展で文部大臣賞を受賞し、写真家の道を固める基盤が出来上がりつつありました。太平洋戦争もいよいよ風雲急を告げる事態となり、昭和20年3月14日、ついに大阪も空襲に見舞われてしまったのです。この空襲で自宅が全焼し、それまで撮りためていた山岳写真や写真機材のすべてが灰に帰してしまいました。しかし、偶然が重なって「文楽」のネガだけが今に残ったのです。
百々俊二「大阪」
写真家は撮るとき、もはや<わたし>のなかを探るのではなく、<わたし>の記憶の場所をいさぎよく他者に明け渡す。その場所を気前よくいまそこにいるひとたちに委ねるのだ。
―略―
「かつてあった」場所として撮られたものが、写真によって「いま」として引き継がれるのは、撮る者によってではなく、撮られつつあるひとびとによってである。
鷲田清一「場所と記憶を明け渡す」(百々俊二写真集「大阪」より)
開催概要EVENT DETAILS
会期 |
2016年9月3日(土)~2016年10月30日(日)
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会場 | 入江泰吉記念奈良市写真美術館 Google Map |
住所 | 奈良県奈良市高畑町600-1 |
時間 |
9:30~17:00
(最終入場時間 16:30)
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休館日 |
月曜日 (但し、9月19日、10月10日は開館)、9月20日(火)、10月11日(火) |
観覧料 | 一般 500円 高校・大学生 200円 小・中学生 100円 団体(20名)2割引き 毎週土曜日 小中高校生観覧無料 奈良市在住の70歳以上の方無料 障がい者手帳・療育手帳・精神障がい者保健福祉手帳をお持ちの方無料 |
TEL | 0742-22-9811 |
URL | http://irietaikichi.jp/tenran/tenran_new.html |
入江泰吉記念奈良市写真美術館の情報はこちらMUSEUM INFORMATION
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