この展覧会についてABOUT THIS EXHIBITION
「暁斎プラスワンシリーズ」展は、暁斎やその作品に強く影響を受けたり、暁斎に関心を寄せる現代作家の作品を、暁斎作品とともにご紹介する展覧会です。
今回は、昭和初期、「シュルレアリスム絵画」の紹介者として知られた福沢一郎と一時期活動を共にした超現実主義の画家・堀田操氏と、その奥様で銅版画家の堀田浅子氏との競作展です。
堀田操氏との出会いは、1989年に銀座の東京セントラル絵画館で開催した「百鬼夜行展―河鍋暁斎と現代作家による―」に出品いただいたご縁に遡ります。その年、河鍋暁斎記念美術館が主宰する「河鍋暁斎研究会」(現・河鍋暁斎記念美術館友の会)と「かえる友の会」に入会いただいて以来、亡くなられるまで、研究会に参加され、「かえる展」に作品を出品いただくなどご協力を得ていました。浅子氏の作品は、堀田操氏の遺作展で初めて出会い、本展を開催するにあたり、ご夫婦での競演をとお願いし、本展の開催が実現しました。
◆ 堀田操 作品紹介
本展は、初期の作品を多く展示しました。
堀田操は、第二次大戦でシベリアに抑留されました。悲惨で過酷な日々の中、体を悪くして、ついに死体置場に寝かされたそうです。地獄のような世界を、身をもって体験したのです。戦争のことをあまり語りませんでしたが、この窮極の恐ろしい体験は生涯、作品の根底に流れているように思います。
深いブルーを基調とした廃墟や髑髏などの心象風景が多く描かれていますが、生と死の境を彷徨った心の旅路ではないでしょうか。内外に危機感や不安感が募る今、現代にも通ずる作品だと思います。
◆ 堀田浅子 作品紹介
近年の「漂泊・漂着シリーズ」です。おもしろい不思議な貝の造形に惹かれています。どれも壊れた貝を描いていますが、貝や流木や石たちが、何処からどのような旅をして、今ここに辿り着いたのか、人生にも重ね合わせて思いを馳せ、主に銅版画のエッチングで表現しています。
銅版画はヨーロッパで15世紀に誕生しました。色々な技法がありますがエッチングはその技法の一つで、17世紀にレンブラントなどにより盛んに使われるようになりました。銅板に防蝕剤を塗り、その上からニードルという描画用の鉄筆で描き、腐蝕液に浸し、腐蝕をし、その溝にインクを詰めて、プレス機で刷ります。筆で描いた絵と違ってプレスされるので、紙に食い込むように黒がしっかりと表れます。今、その黒と白の世界にのめりこんでいます。
今回、日本の木版画(凸版)とヨーロッパで生まれた銅版画(凹版)を、見比べて見るのも興味深いのではないでしょうか。
(旅の初めに… 堀田浅子氏よりのメッセージ)
なお、河鍋暁斎記念美術館では、暁斎と娘・暁翠が描いた下絵や錦絵の父娘競作展を同時開催しています。
開催概要EVENT DETAILS
会期 |
2016年9月2日(金)~2016年10月25日(火)
|
---|---|
会場 | 公益財団法人 河鍋暁斎記念美術館 Google Map |
展示室 | 第3展示室 |
住所 | 埼玉県蕨市南町4-36-4 |
時間 | 10:00~16:00 |
休館日 |
木曜日 9月26日~30日 |
観覧料 | 一般 540円 中~大学生 430円 小学生以下 210円
|
TEL | 048-441-9780 |
URL | http://kyosai-museum.jp/ |
公益財団法人 河鍋暁斎記念美術館の情報はこちらMUSEUM INFORMATION
感想・評価 | 鑑賞レポートREVIEWS
あなたも感想・評価を投稿してみませんか?
感想・評価を投稿する
より詳しい鑑賞レポート 《600文字以上》のご投稿はこちらから。
ページ枠でご紹介となります。
鑑賞レポート《600文字以上》を投稿する
周辺で開催中の展覧会も探してみて下さい。
埼玉県で開催中の展覧会