この展覧会についてABOUT THIS EXHIBITION
この世界一の大屋根を生かしてやろう。そう思いながら、壮大な水平線構想の模型を見ていると、どうしてもこいつをボカン!と打ち破りたい衝動がむらむら湧きおこる。優雅におさまっている大屋根の平面に、ベラボーなものを対決させる。
太陽の塔は、展示物として美術館を渡り歩く〝フツーの彫刻〟ではありません。
高さ70mの圧倒的存在感、内部に擁する濃密な展示空間、建築と同様の建立プロセスなど、あらゆる点で彫刻の常識から外れていますが、いちばんの違いは〝相手がいた〟ことでしょう。
<ジャンルを超えたアイデアコンペ>
太陽の塔はいま、千里の丘にひとり孤独に立っている。だが1970年の大阪万博で岡本太郎がこの塔を突き立てたとき、そこには丹下健三の大屋根があった。
万博最強のアイコンとなるべく計画された大屋根は、空中都市のひな形として都市の未来ビジョンを提示するものであり、それはそのまま「産業技術の進歩が人を幸せにする」という万国博覧会の価値観を体現していた。
こうした西欧モダニズムに対する岡本太郎の『否(ノン)!』。それが太陽の塔だ。引き裂かれたまま同在する二つの極。まさしく『対極主義』の実践だった。太陽の塔は“対峙するもの”として構想されたのだ。あれから45年。時代は変わり、課題も変わった。だがいまも太陽の塔は圧倒的な存在感をもって屹立している。
岡本太郎は大屋根に、そして万国博覧会に太陽の塔をぶっつけた。今度はわれわれがぶっつける番だ。いまふたたび太陽の塔に対峙する建築=空間のイメージを提起して欲しい。太陽の塔は死んだ遺跡ではない。闘う相手として不足はないだろう。
<アイデアコンペ「太陽の塔に対峙せよ!」受賞者決定>
それから半世紀。大屋根に〝対峙するもの〟として構想された太陽の塔は、ひとりでリングに立っています。ならば逆に、いま太陽の塔に対峙する建築・空間があり得るとしたら、それはいったいどのようなものなのか。若い才能に訊いてみたいと思いました。
実施したアイデアコンペには150点の応募作品が集まりました。2015年11月26日、アイデアコンペ「太陽の塔に対峙せよ!」に応募された作品について、審査員の五十嵐太郎(建築批評家/東北大学教授)、椹木野衣(美術批評家/多摩美術大学教授)、藤本壮介(建築家)、平野暁臣(空間メディアプロデューサー/岡本太郎記念館館長)によって、厳正な審査が行われ、下記の2名(組)の受賞、5名(組)の入選が決定いたしました。
作品は、2016年2月28日まで、岡本太郎記念館企画展『太陽の塔に対峙せよ!』にて公開されます。
最優秀賞 賞金50万円+作品展示権(岡本太郎記念館にて)
山田 文宏/小川 佳英/川口 創史/後藤 洋平/山田 美紀
特別賞 賞金20万円+パリ往復航空券
大坪 良樹
入選者
伊勢原 宥人
駒村 佳和、田中 みずき
中村 宏太
宮崎 宏康
山田 栞
開催概要EVENT DETAILS
会期 | 2015年10月28日(水)~2016年2月28日(日) |
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会場 | 岡本太郎記念館 Google Map |
住所 | 東京都港区南青山6-1-19 |
時間 | 10:00~18:00 (最終入場時間 17:30) |
休館日 |
火曜日 祝日の場合は開館、年末年始(12/28~1/4)及び保守点検日 |
観覧料 | 一般 620円(520円) 小学生 310円(210円) ※( )内は15人以上の団体料金 |
TEL | 03-3406-0801 |
URL | http://www.taro-okamoto.or.jp/exhibition/ |
岡本太郎記念館の情報はこちらMUSEUM INFORMATION
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