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接写の迫力
週末に訪問。お昼頃ですが、高齢者の方を中心にそれなりに観覧者がいます。最初に土門拳の写真が数枚、その後はすべて藤森武氏の写真です。かなり大きく引き延ばされていますので、接写された部分は大変迫力があり、細部までよく観察できます。ピントが多少あっていないものもありますが、どれも仏像の素晴らしさを引き出しています。個人的には秋田県の女神立像が気になりました。丁寧できれいな写真は実物を拝見したくなってきます。
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八王子市夢美術館では東日本大震災から10年目となる本年、特別展「東日本大震災から10年 土門拳×藤森武写真展 みちのくの仏像」を開催します。ノミ跡を残した鉈彫り、木の根の形をとどめた立木仏、素朴な円空仏、東北の繁栄を伝える絢爛たる仏。
東北6県は魅力的な仏像の宝庫として知られ、世界遺産にも登録された岩手県・中尊寺の金色堂をはじめ、それぞれに歴史と伝統、地域色豊かな仏像が数多く残されています。
そして、仏像写真といえば、山形県酒田市出身の写真家土門拳(1909-1990)と作品集『古寺巡礼』を多くの人は連想するのではないでしょうか。ただ、土門の仏像写真の多くは奈良・京都・畿内を中心に撮影したものが多く、自らの出身地でもある東北での撮影は中尊寺などの一部を除き、実現することはありませんでした。
一方、土門の直弟子として『古寺巡礼』の撮影にも携わった写真家の藤森武(土門拳記念館学芸担当理事)は、土門学校卒業12年目の1979年に、みちのくを代表する仏像《薬師如来坐像》(福島県湯川村 勝常寺)を撮影、あらためて仏像写真の奥深さに魅せられた藤森は、以後師の遺志を受け継ぐかのように、東北各地の仏像を撮り続けています。
本展は、東日本大震災発生から10年を過ぎ、未だ深い傷跡を残す被災地の復興を祈念し、藤森が撮り続けた東北の仏像写真を中心に、師である土門のそれらとあわせ紹介するものです。本展が風雪に耐え、みちのくの人々に受け継がれたいのりのかたちに思いをはせる機会となれば幸いです。
◆ 藤森武(ふじもり たけし) プロフィール
1942年東京都に生まれる。写真家土門拳に師事 、東京写真短期大学(現東京工芸大学)卒業。凸版印刷写真部を経て、フリーランサーとなる。現在、日本写真家協会会員、土門拳記念館学芸担当理事。 写真集に『獨楽・熊谷守一の世界』(講談社)、『薩摩切子』『 「 ガレのガレ 」 エミール・ガレの神髄』(紫紅社)、『秘 仏 十一面観音』(平凡社)、『国宝・重文の茶室』(世界文化社)、 『隠れた仏たち 全5巻』(東京美術 )、 『鉈彫 荒彫 謎の木彫仏』(玉川大学出版部)、『日本の観音像』(小学館)、 『仏都会津・祈りの里の仏たち』(福島民報社)など多数。 2015 年から東北新聞 5 社共催企画で始まった巡回展「藤森武写真展 みちのくの仏像」を開催している。
◆ 土門拳(どもんけん)プロフィール
1909年山形県酒田市に生まれる。東京の宮内幸太郎写真場で修業後、日本工房に入社。1939年頃、美術史家・水澤澄夫の案内ではじめて奈良・室生寺を訪れ、平安時代初期の木彫仏に興味を持つ。戦後はフリーになり、1950年代にはリアリズム理論を展開。1959年、脳出血で倒れ、35ミリカメラの操作が困難になると、大型カメラによるライフワーク「古寺巡礼」の撮影を開始。この成果は13年間で全五集を刊行した『古寺巡礼』に結実する。1968年再び脳出血によって倒れるが、撮影に復帰。1979年、脳血栓で倒れ、11年の昏睡状態を経て、1990年、80歳にて永眠。1981年、土門拳賞が創設され、1983年には酒田市に土門拳記念館が開館する。芸術選奨文部大臣賞、菊池寛賞、紫綬褒章など受賞、受章多数。
※入館に際しては、マスク着用等、新型コロナウイルス感染拡大防止対策にご協力ください。また、展覧会は中止または変更、入場制限を行う場合があります。最新の情報は八王子市夢美術館ホームページにてご確認ください。
会期 |
2021年2月11日(木・祝)~2021年3月28日(日)
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会場 |
八王子市夢美術館
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住所 | 東京都八王子市八日町8-1 ビュータワー八王子2F |
時間 |
10:00~19:00
(最終入場時間 18:30)
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休館日 |
月曜日 |
観覧料 | 一般 600円 学生(小学生以上)・65歳以上 300円
|
TEL | 042-621-6777 |
URL | https://www.yumebi.com/ |
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週末に訪問。お昼頃ですが、高齢者の方を中心にそれなりに観覧者がいます。最初に土門拳の写真が数枚、その後はすべて藤森武氏の写真です。かなり大きく引き延ばされていますので、接写された部分は大変迫力があり、細部までよく観察できます。ピントが多少あっていないものもありますが、どれも仏像の素晴らしさを引き出しています。個人的には秋田県の女神立像が気になりました。丁寧できれいな写真は実物を拝見したくなってきます。
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