この展覧会についてABOUT THIS EXHIBITION
創設80周年を記念する最初の特別展として、日本民藝館の所蔵する朝鮮時代の諸工芸品の中から優品約300点が一堂に会します。
創設者の柳宗悦 (1889 -1961)は、朝鮮時代の器物にこそもっとも豊かな民族性が表れていることを発見しました。人々の暮らしを彩った陶磁器、木工品、石工品、金工品、そして絵画など、それらに宿る民族固有の造形美が堪能できる展覧会です。
◆柳宗悦と朝鮮の工芸
国内屈指の質と量を誇る日本民藝館所蔵の朝鮮時代の工芸品の多くは、柳宗悦の「眼」と「足」により、1910年代から1930年代にかけて朝鮮半島で蒐集されたものです。
そして、その活動を支えたのは浅川伯教(あさかわのりたか 1884-1964)・巧(1890-1931)兄弟でした。兄の伯教は柳と朝鮮陶磁器との出会いを繋げ、弟の巧は柳と朝鮮の人々との結びつきを深めることに尽力したのです。
柳は晩年に、「かく朝鮮の器物を好きになったのは、私にとって種々生涯の方向を定める事にもなり、うたた感慨が深い」(「四十年の回想」1959年)と述懐しておりますが、この二人との出会いを契機にして、柳は民衆の日常品のなかに驚くべき美の姿を見出し、後の民藝美学につながる思索を深めていくこととなったのです。
ところで、柳は器物にのみ興味や関心を示したわけではありませんでした。当時の韓国では民族の自決権が奪われ、また日本政府による同化政策が強制されていたのです。しかし、柳は時流に抗いつつ、朝鮮民族が保持する固有の文化に高い価値を認め、その保存と保護を訴えたのでした。器物への愛が、それを生み出した人々にも注がれることは、柳にとっては当然の行為であったのです。
今年は柳宗悦が初めて韓国を訪れてから100年にあたります。柳の念願であった美の悦びを介しての日韓両国民の相互理解が、更に深まることを願って開催される展覧会です。
◆日本民藝館が所蔵する朝鮮時代の工芸品
蒐集の中心は朝鮮時代の陶磁器です。朝鮮時代初期の三島手(粉青沙器 ふんせいさき)の碗や瓶などに加え、井戸茶碗などの碗類、中期から後期の白磁の壺や祭器、染付(青花)、辰砂、鉄砂で加飾された壺や瓶や皿、黒釉や飴釉を施した壺や鉢や瓶、様々な形状の水滴などが所蔵されています。
絵画の分野では、朝鮮時代後期に描かれた民画類が主体です。絵画が暮らしに溶け込んでいた朝鮮半島では、子供室に飾られた儒教の徳目を図案化した文字絵や、主人室の冊架図や夫人室の花鳥画など伝統的な画題が、無名の絵師たちによって描かれました。また、朝鮮時代中期の文人画や記録画など官画の逸品も収蔵されております。
その他、木工品の分野では、主に朝鮮時代後期に制作された箪笥や膳などの調度類をはじめ、筆筒や状差、水呑などの小品類、螺鈿細工や牛の角を用いた華角貼(かかくばり)の箱などが収蔵されており、その独自の造形美には目を見張るものがあります。
石工品の分野では、石仏、火鉢、香炉、鍋、薬煎、筆筒・硯などが秀逸です。素材を生かした造形的な力強さもさることながら、丁寧で繊細な石彫りの細工が見事といえましょう。
金工品の分野では、大型の鉄甕や真鍮を素材とした容器や鍵類、鉄製の素地に銀や鉛で紋様を象嵌した筆筒や煙草入などが挙げられます。
なお、柳は陶芸家の河井寬次郎や濱田庄司と全羅南道など韓国各地を精力的に巡りましたが、そこで制作され使われていた編組(へんそ)品(藁や竹などによる篭や箱や箒類)や、団扇などの紙工品にも蒐集の眼を向けたのでした。
開催概要EVENT DETAILS
会期 |
2016年4月2日(土)~2016年6月12日(日)
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会場 | 日本民藝館 Google Map |
住所 | 東京都目黒区駒場4-3-33 |
時間 |
10:00~17:00
(最終入場時間 16:30)
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休館日 |
月曜日 |
観覧料 | 一般 1,100円 大高生 600円 中小生 200円 |
TEL | 03-3467-4527 |
URL | https://mingeikan.or.jp/ |
日本民藝館の情報はこちらMUSEUM INFORMATION
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