5.0
モリカズワールド堪能
「生誕140周年 熊谷守一展 わたしはわたし」を楽しみにしていました。
こちらのサイトのチケット応募に当選をしたので早速拝見しました。
ありがとうございました。
今回の展覧会は、作品数が多く、
モリカズ様式と呼ばれる作品以外も拝見出来ました。
また、結核で亡くなられたお嬢さんが書かれた書や
熊谷さんの和風の作品も多く、
モリカズ様式しか知らなかった私には驚きでした。
しかし、個人的にはやはりモリカズ様式と呼ばれる絵画が好きで、
どうしてもそちらに目が行ってしまいました。
熊谷さんは理系の画家、と評されていますが、
まさにその通りだと思います。
補色と呼ばれる、色相環の反対側の位置にある2つの色は、
互いを引き立て合い、残像を残します。
更に明度と彩度の対比により
人間の目が持つ錯覚の機能を見事に利用して画面の余韻に浸れます。
また、太い輪郭線や、モチーフごとに筆を動かす方向を変えたり、
モチーフだけにニスを塗って背景から浮かび上がらせることで、
生き生きとした表情が生まれて、まるで直ぐに動き出すような感覚を受けます。
モリカズ様式は時代を経ても色あせることは
ありませんね。
これらのモリカズ様式は70歳を超えた頃に確立された、
ということも驚きです。
画家のあくなき探求心を見せつけられたようです。