4.0
臨場感は素晴らしく絵の中に…
後白河法皇の命により描かれたと言われる信貴山縁起絵巻は正に今様狂いの法皇らしくエスプリに富む作品です。山崎の長者の巻では空を飛ぶ米俵や蔵を見て頭の中に沢田研二の「TOKIO」が流れ♪、私も密教秘術「飛鉢法」を習得し米俵や蔵以外の色々なものを飛ばしてみたくなり、延喜加持の巻の護法童子が操る転輪聖王の金輪に幼い頃の夢に見た庭を駆け巡る火車を思い起こし、尼公の巻の盧舎那仏に今も金色ならどれほど素敵なことかと東大寺金堂に鎮座されてる今大仏に思いを馳せていました。描かれてる人々の表情と動くものすべての臨場感は素晴らしく絵の中に引き込まれ立ち尽くすこともしばしばです。また尼公の巻の中には猫以外にも山崎の長者の巻で飛ばされた蔵が描かれてるので探してみてください。他には信貴山縁起絵巻の色彩豊かな複製、粉河寺縁起絵巻、辟邪絵、毘沙門天像etc.とありましたが、前屈みの姿勢で一時間以上も絵巻と睨めっこし疲れ果てた私にはそれらの物に対峙する気力がなくて…でも辟邪絵の毘沙門天は素敵です。真剣に見れば二日間は腰が筋肉痛になるほどの長~い絵巻ですが妄想好きの私には楽しめる展覧会でした。