この展覧会についてABOUT THIS EXHIBITION
藍染絞りの第一人者として知られる片野元彦(1899-1975)は、名古屋で生まれ、若い頃は画家の岸田劉生に師事し洋画家を目指していました。
岸田の急逝後には染物を学ぶようになり、藍染絞りの道に専念したのは57歳の時、日本民藝館の創設者 柳宗悦(1889-1961)に、産地である有松・鳴海の絞りの仕事を再興するよう託されたのがきっかけでした。
以降76歳で亡くなるまで、「絞染職人」として、天然藍を中心に植物染料を使った絞り染の着物や服地、暖簾や飾布など生活の中で使用される布の制作に邁進しました。
物を作る心は河井寛次郎に、染色の道は芹沢銈介に学ぶよう柳より助言を与えられた片野は、河井を慈父と敬い、制作に思い悩むと京都の五条坂に河井を訪ね、指導を仰ぎました。河井は、絞りはどこまでも追求することが肝腎で、そのためには「過去の絞を忘れることだ、そして今までの絞を悉く火で焼き捨てて終え、そしてその畑に自分の種を播いて懸命に育てるのだ、自分もその耕作を手伝うよ」と励まし続けます。
1958年に柳から「絞の仕事が貴兄の悲願であることを願って」と書軸『悲願』が贈られると、片野はさらに誠実に仕事に精進していきました。
天然藍は毎日の世話が必要不可欠であり、熟練の技も要します。また、糸で縫絞り、あるいは折り畳んで紋様をつける絞りの技法も、非常に手間暇のかかる仕事です。
「民族の手仕事として藍染の絞を繋ぎ止めたい一心」で、伝統的な技法を踏襲しながらも、それまでにない大胆な紋様を生み出していった片野は、のちに「片野絞」と呼ばれる独創的な技を見出しました。そして、その技は現在も継承されているのです。
本展では、片野の絞り染作品に加え、書簡などの関連資料、藤本巧撮影による片野の写真も併せ展示。また、父・元彦の仕事を献身的に支え続け、父の死後も真摯な仕事を生涯続けた絞り染作家の長女・かほりの作品も紹介します。
天然藍による色の深みと、藍と白のコントラストが醸し出す生き生きとした紋様の力強さをご堪能ください。
開催概要EVENT DETAILS
会期 |
2019年4月2日(火)~2019年6月16日(日)
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会場 | 日本民藝館 Google Map |
住所 | 東京都目黒区駒場4-3-33 |
時間 |
10:00~17:00
(最終入場時間 16:30)
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休館日 |
月曜日 5月7日(火) ※ただし、4月29日・5月6日は開館 |
観覧料 | 一般 1,100円 大高生 600円 中小生 200円 |
TEL | 03-3467-4527 |
URL | https://mingeikan.or.jp/ |
日本民藝館の情報はこちらMUSEUM INFORMATION
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