4.0
室町将軍の美に着目した展示は新鮮
室町幕府の芸術・文化方面のイメージは義満,義政の金閣寺と銀閣寺ぐらいで正直なところどうも印象が薄い部分があった。
だが冒頭で漫画での将軍の紹介があり,簡単に室町将軍について知ることができるので曖昧な記憶の大人にも習っていない子供にもありがたかった。
勘合貿易の印を合わせてみるコーナーや北山大塔の高さと現代の福岡の高層建築とを比べるパネルがなど分かりやすさについても工夫されていたと思う。
歴代室町将軍に通じる美の戦略と権威付けを取り扱っており新鮮な気持ちで見られた。
当時の中国の習慣にならい花押や印が押されているものが多数あり,見比べることができるのも面白い。
当時の配置マニュアルのとおりに書院造の床の間のようなスペースに展示されている展示もあり,ガラスケースに個別に展示されているものとは違った鑑賞ができた。
書や茶道具等が充実だが,数は少ないながらも刀や鎧も重文・国宝のものが展示されており満足度は高い。
ついつい伸ばし伸ばしにして後半になってしまったが展示替えの前にも行きたかったと思う展覧会であった。