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チェコに学んだ日本人の若い人形アーティストさんたちの、可愛くてインパクトある作品たちは必見。
「ムットーニワールドからくりシアター」を三度見た「夢美術館」が、チェコの糸あやつり人形の展覧会をする??ということで、糸あやつり人形の事もチェコの人形文化の事もあまり知らないながら、出かけて来ました。
私世代ならたぶん、人形芝居と言えば一番に、TVの「ひょっこりひょうたん島」「ネコジャラ市の11人」の「ひとみ座」人形劇が思い浮かぶのではないでしょうか。私はたまたま、子ども劇場親子劇場のかかわりから、割合多くの自演協各人形劇団と出会い交流し、その後もあちこちの農村地域の人形浄瑠璃、文楽、八王子車人形まで、色々と接する機会が多かった方かと思います。でも、これまでは人形芝居を、そのストーリーや人形の動きの中に、あるいは人形を操作する使い手に、アートを見て、注目していただけでした。今回の展覧会は、美術館の側からすればしごく当たり前なのでしょうが、人形そのものが主役でした。チェコの現在の人形文化の一部を、造形大教授で世界の玩具や遊具の研究者の春日明夫氏コレクションから、糸あやつり人形やアート・トイなどの作品を中心に、特に4名の作家を取り上げて紹介されています。お馴染のアニメーション人形ではなく、木を丹念に削って作った糸あやつり人形。アート・トイと言えば日本が十八番のフィギャー、ではなく、チェコの色彩豊かでユニークなアート・トイ。それらが主張する個性が、会場に溢れていました。
ミュシャの「スラブ叙事詩」に語られて知るところの、チェコの地域は、古くから神聖ローマ帝国、オーストリア帝国、 オーストリア・ハンガリー二重帝国、ナチス・ドイツ、ソ連など、周辺の諸勢力の影響や支配を受け続けてきた歴史を持ちます。支配されていた時、様々な文化や言語までも強制されていましたが、そんな中でも人形劇は、民衆の為の娯楽、風俗的なものであったために、危険視されなかったことが、チェコ語の禁止を免れチェコ語を守るために人形劇が意欲的に上演されたと伝えられています。つまり、チェコの人々にとって人形劇やその人形は単なる人形玩具というだけではなく、チェコの伝統文化そのものといえるのでしょう。チェコには、世界初の人形を専門に学べる国立大学機関があり、各都市には人形劇専門の劇場があるそうです。現在のチェコにおいても、祭礼や地域のイベントでは盛んに人形劇が上演され、人形づくりの… Read More