この展覧会についてABOUT THIS EXHIBITION
日本民藝館の初代館長である柳宗悦(1889-1961)が創始した民藝運動。
その歩みを振り返ってみると、すべての活動が朝鮮陶磁器との出会いから始まっていることがわかります。後に提唱される民藝美論の礎となる「用の美」や「無心の美」への目覚めも、まさにその出会いが契機となったのです。
きっかけは1914年のことでした。当時、千葉県の我孫子に住んでいた柳のもとへ、朝鮮から浅川伯教という人物が朝鮮陶磁器を手土産に訪れたのです。
来訪の目的はロダンから贈られた彫刻作品を見るためでした。すると、柳は瞬く間にこの白磁の壺(図版2)に心を奪われてしまったのです。
その時の感激を、「その冷な土器に、人間の温み、高貴、荘厳を読み得ようとは昨日まで夢みだにしなかった。」(「我孫子から 通信一」1914年)と、記しています。
以来、柳は浅川伯教と弟の巧を介して度々朝鮮半島へ渡り、各地を巡って陶磁器や木工品、絵画、石工品や金工品などを蒐集しました。そして、朝鮮工芸への限りない愛情の証として展覧会や文筆活動を行い、民族固有の工芸文化の素晴らしさを国の内外に紹介していったのです。
なお、柳の関心は器物にのみ向けられたのではありません。その眼差しは独自の文化を育んできた朝鮮の人々にも向けられ、当時日本政府が推し進める武断的な植民地政策に異議を申し立て、朝鮮文化の擁護と保護に尽力したのでありました。
現在、日本民藝館には、主として朝鮮時代(1392-1910)に作られた約1,600点の工芸品が収蔵されており、日本国内の美術館としては最大級の質と量を誇っております。なかでも、朝鮮白磁はその白眉ともいえましょう。そこには時代の精神を映し出す清廉で簡素な美が宿っており、民族の心を象徴する独自の美意識が現れているのです。
さて、本展では無地の白磁をはじめ、白磁の素地に藍色に発色する酸化コバルト(呉須)で文様を描いた青花(染付)や、褐色に発色する鉄絵具で加飾した鉄砂、赤色に発色する銅顔料を用いた辰砂など、柳がことのほか愛しんだ白磁の優品約150点を紹介します。朝鮮白磁が醸し出す、自由で無垢な美の世界をご堪能ください。
開催概要EVENT DETAILS
会期 |
2018年9月11日(火)〜2018年11月23日(金・祝)
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会場 |
日本民藝館
![]() |
住所 | 東京都目黒区駒場4-3-33 |
時間 |
10:00〜17:00
(最終入場時間 16:30)
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休館日 |
月曜日 祝日の場合は開館し、翌日休館 |
観覧料 | 一般 1,100円 大高生 600円 中小生 200円 |
TEL | 03-3467-4527 |
URL | http://www.mingeikan.or.jp/events/special/201809.html |
日本民藝館の情報はこちらMUSEUM INFORMATION
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出展作品・関連画像IMAGES

染付秋草文面取壺 18世紀前半 12.8×11.8cm

辰砂虎鵲文壺 18世紀後半 28.7×25.1cm

白磁共手水注 19世紀 18.8×17cm

白磁四君子文三段重 19世紀前半 19.4×12.4cm

写真・白磁壺 18世紀前半 高34.2㎝