この展覧会についてABOUT THIS EXHIBITION
昭和21年(1946)に始まった正倉院展は、今年で70回目を迎えます(昭和24、34、56年は東京で正倉院宝物を公開)。
奇しくも平成最後の開催となる本年の正倉院展には、北倉10件、中倉16件、南倉27件、聖語蔵(しょうごぞう)3件の、合わせて56件の宝物が出陳されます。そのうち10件は初出陳を含みます。
正倉院宝物の全体像がうかがえる内容となっておりますが、平成25年度から27年度まで3年間にわたって宮内庁正倉院事務所によって実施された麻製品に関する特別調査の成果を反映した構成となっている点が特筆されます。また朝鮮半島に存した王国・新羅(しらぎ)に関する宝物が多数出陳されるのも注目されます。
聖武天皇・光明皇后ゆかりの北倉からは、平螺鈿背八角鏡(へいらでんはいのはっかくきょう)、古人鳥夾纈屛風(こじんとりきょうけちのびょうぶ)といった調度品に加え、女性用の履物とみられる繡線鞋(ぬいのせんがい)が出陳されます。中国で作られ遣唐使によってもたらされたと考えられる貴重な品で、高貴な女性の所用品と考えられています。
本品や同じく唐より舶載された平螺鈿背八角鏡などからは、異国の煌(きら)びやかな文物に囲まれた華やかな宮廷生活が垣間(かいま)見られます。
一方、当時我が国と交流があったのは唐ばかりではありませんでした。朝鮮半島の王国・新羅や中国東北部を中心とする地域にあった渤海(ぼっかい)とも使節が行き来し、また交易が行われました。本年は銅匙(どうのさじ)、佐波理加盤(さはりのかばん)など、特に新羅との交易によってもたらされたと考えられる宝物が充実しております。
殊に白銅剪子(はくどうのせんし)は、同形のものが新羅の別宮・月城(ウォルソン)の苑池・月池(ウォルチ)(雁鴨池(アナプチ))から出土しており、注目されます。この他内貼(うちばり)に新羅の行政文書が用いられた華厳経論帙(けごんきょうろんのちつ)も、非常に貴重な品であるといえます。
また、象牙や玳瑁(たいまい)、沈香(じんこう)、犀角(さいかく)といった珍材が惜しげもなく用いられた玳瑁螺鈿八角箱(たいまいらでんはっかくのはこ)、沈香木画箱(じんこうもくがのはこ)、犀角如意(さいかくのにょい)といった眩(まばゆ)いばかりの豪奢(ごうしゃ)な工芸品からは、当時の高い技術と仏教への尊崇の念が伝わって参ります。
この他、今も我々の生活に身近な麻を用いた宝物が多数出陳されますが、布としての使用に留まらず、芯材や緒(お)として使用されたものも含まれており、当時における麻製品の多様な活用状況がうかがえます。さらに、全国で税として納められるため生産された麻に加え、繡線鞋や銅匙のような舶載品(はくさいひん)に使用された麻などもあり、東アジアにおける麻の使用についても注目される内容となっております。
開催概要EVENT DETAILS
会期 |
2018年10月27日(土)~2018年11月12日(月)
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会場 | 奈良国立博物館 Google Map |
住所 | 奈良県奈良市登大路町50番地 |
時間 |
9:00~18:00
(最終入場時間 16:30)
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休館日 |
会期中無休 |
観覧料 | 【当日】 一般 1,100円 高校生・大学生 700円 小学生・中学生 400円 【前売・団体】 一般 1,000円 高校生・大学生 600円 小学生・中学生 300円 親子ペア 1,100円 【オータムレイト】 一般 800円 高校生・大学生 500円 小学生・中学生 200円
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TEL | 050-5542-8600 (ハローダイヤル) |
URL | https://www.narahaku.go.jp/exhibition/2018toku/shosoin/2018shosoin_index.html |
奈良国立博物館の情報はこちらMUSEUM INFORMATION
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