4.0
フォービズムの固定観念が外れます
いまヴラマンクで単独の展覧会を開く意味は何なのか。
野獣派(フォービズム)なんていまどき流行るのかね、と思いつつ、足を運びました。知らなかった、知らなかった。ヴラマンクのフォービズムらしい絵というのは、比較的短期間に限られており、必ずしも画家としての全生涯が野獣ではなかったのでした。
フォービスムらしからぬ静物画や人物画もあり、画家をひとつのジャンルにおしこめてはいけないことに改めて気付かされます。
もうひとつ驚くのは、執拗に同じテーマを描いているところで、それは村の風景画。
画面の前から奥に向かって道が伸び、その左右には家並み。人物が数人、あるいは自動車が点景のように添えられる。空は陰鬱で、雪の積もっていることもしばしば。そんな風景を繰り返し繰り返し描いており、よくぞ飽きないものだとも思ったり、これはほとんどヴラマンクの心象風景になっているのではないかと思ったり。
あまりまとまって画業を見るチャンスの少なかったヴラマンクの作品をたくさん集め、この画家の印象を変えてしまう展覧会でした。