5.0
圧巻の作品群、ぜひこの場で見るべき
2階に上がるといきなりの巨大な器のような作品。たちのぼるコールタールの匂いも含めのっけからやられた。
細い道を辿っていくような展示構成で、先が見えず、作品と対峙するたびに「はぁー」と声にならない声をあげてしまう。作品の大きさだけでなく、圧倒的な凝縮感、密度なのだ。これはその場で感じてみないとわからないと思うし、的確に伝えることができない。
吹き抜けの大作はこちらの会場の条件だから(でのみ)できる展示方法で、ほかで見ることはできないだろう。舟の前に佇むようなマンズーの枢機卿が(意図してかせずか)ちょっと意味深である。
7/23午後に行われたスペシャル・トークは桟敷席ができるほどの大盛況だった。現代美術における物語(性)とはなにか、また本展のキーワードである聖性について、もの派との関係から夏目漱石のいう外発性・内発性、“近代”の定義・諸問題なんかの議論もからんできて一層濃い展開に。作家ご本人からも作品づくりや展示方法の狙うところなども含め語られ、貴重な時間でありました。
ちなみに美術館の建築は黒川紀章で、県営の公園内にあって緑の中には野外彫刻が点在。館内にはデザイナーズ・チェアが置かれ自由に座ってOKとなっている(そのためだいぶ古びてたりするけど、それもまた良し)。地味にけっこう贅沢な場所だと思う。