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現代によみがえる天平文化
撥鏤の部を見て 初めて撥鏤(ばちる)という技法を知りました。赤や紺に染めた象牙に、糸より細い線で文様を彫り出すという、驚くほど精緻な工芸です。奈良時代に中国から伝わり、平安期以降に姿を消したものの、正倉院宝物の修復を通して近代に復興したという歴史にも心を動かされました。 なかでも、草花の曲線が流れるように刻まれ、鹿や馬が生き生きと躍動する尺(ものさし)には息をのみました。碁石にまで撥鏤が施されていたことにも驚き、1200年以上前の高貴な人々がこれを日常で使っていたのかと想像がふくらみます。 現代工芸家の作品では、紺色の撥鏤を宇宙に見立てたブローチが印象的でした。古代の技法が、今の感性の中で新たな表現へとつながっていることが嬉しいです。 唯一残念だったのは、壁面ケースの作品が繊細すぎて遠くからでは細部が見えにくかった点です。平台展示のものは鑑賞しやすかったので、可能なら全て平台展示にしてほしいと思いました。 天平文化の息づかいと、現代の創造力が響き合う、豊かな時間でした。… Read More




