この展覧会についてABOUT THIS EXHIBITION
この人の写真はどこか太郎とおなじ匂いがする。
はじめて佐内正史の作品を見たとき、そう直感しました。むろん“作風”が似ているからではありません。中身になんら共通点はないけれど、画面の“向こう側”に同質のネイチャーが透けて見えるような気がしたからです。
一言でいえば、写真が「文脈」や「物語」から自由であり、それゆえに“お仕事”の匂いがしない。
一般に、写真家の撮る写真にはミッションがあり、テーマがあり、メッセージがあります。撮影対象が人でも風景でもブツ撮りでも、あるいは受注仕事だろうが自主的な“作品づくり”だろうが、この点においては変わりがありません。
商業写真にしろ芸術写真にせよ、主眼はメッセージのデリバリーにあり、作品はいわばヴィークルのようなもの。ゆえに力のある写真ほど暑苦しい。
ところが太郎と佐内さんの写真には、見る者を説き伏せようとの意思がみじんも感じられないし、マーケティングの気配もありません。端的にいえば、「撮った」のではなく「撮れちゃった」ように見える。
おそらく彼らは、「撮ろう」と考えるより先に、五感が「お、いいぞ!」と囁いた瞬間にシャッターを切っている。なにを撮ろうか、どう撮ろうか、なんてことは考えず、対象から放射される“波”を傍受し、直観するだけ。だから文脈や物語とは無縁なのでしょう。
太郎は「芸術なんてなんでもない。道端の石ころとおなじだ」と言いました。たぶん佐内さんも「写真なんてなんでもない。拝まないでくれ」と考えている。
そんな佐内さんにTAROと向き合ってもらいました。
太郎の絶筆『雷人』に眼が釘付けになった彼は、自らの撮影原理を「雷写」と銘打ち、TAROとの対話にのめり込んでいきます。展示作品の過半を撮り下ろしただけでなく、350頁におよぶ同名の写真集を刊行するなど、その熱量は尋常ではありません。時代を超えて対峙するふたりのアーティストの相貌をどうぞご覧ください。
岡本太郎記念館館長 平野 暁臣
雷写
「あっ」て言って仰け反って、「あーっ」て言って終わる。写真の中の擬態語が聞こえてくる。ピカって光る、ストロボは焚かない。雷人を箱から出した時、アトリエが明るくなった。いつか言った、写真に撮らなくても写真だった。
2025年夏から冬、毎週火曜日岡本太郎記念館で太郎さんが描いた絵の撮影をした。色んな表情のまるいものがいっせいに走ってくる。
雷人を撮っている時に、この撮影の旅は終わると思った。ストロボは焚かないけど、光っている、雷、私は雷人写真人。年末年始に静けさの中プリントができて、気持ちがすっきりした。神社とか墓参りに似ている、目がよくなる、死者と話す、中で少し動いてる、写真の印象、言葉が無いから軽くなる、幾何学に見えてくる、記憶が違う風景、表面に浮かんでる黒、素朴で思いやる、写真からはみ出していく、懐かしい平面。
佐内正史
開催概要EVENT DETAILS
| 会期 | 2026年3月14日(土)~2026年7月12日(日) |
|---|---|
| 会場 |
岡本太郎記念館
|
| 住所 | 東京都港区南青山6-1-19 |
| 時間 |
10:00~18:00
(最終入場時間 17:30)
|
| 休館日 | 火曜日(祝日の場合は開館) |
| 観覧料 | 一般 650円 小学生 300円 |
| TEL | 03-3406-0801 |
| URL | https://taro-okamoto.or.jp/ |
岡本太郎記念館の情報はこちらMUSEUM INFORMATION
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出展作品・関連画像IMAGES
岡本太郎《雷人》(1995)|撮影:佐内正史
佐内正史
撮影風景