4.0
貴重なお宝の数々
書も茶器も疎いのですが、ときどきはっとするほどに、黒楽茶碗の佇まいが美しかったり、茶器の内側の表情が素敵だったり、若い女性を示す小面(こおもて)という能面が魅力的だったり、書の芸術的な美しさに驚いたりと、こういうのが名品ということかしら!?と思いながら、すっかり堪能させていただきました。
一番最後に展示されていた丸山応挙の「雪松図屏風」は、白と墨、薄茶に金といった彩色のみで、立派な堂々たる松の木に、しんしんと降り積もった雪の重みが表現された、描かれたときの情景が生き生きと浮かんでくる見事な屏風絵でした。
ひとつ忘れないように記録しておきたいのが、「森狙仙(もりそせん)」という名前。初めて見た名前なのですが、墨で描かれた岩場と、紅葉と、猿の親子らが描かれた絵が、猿の描写も絵の構図も素晴らしかったです。生き物が描かれた絵は、とくに描いた人の人間性や人柄が現れやすいのではないかと思います。この森狙仙という人は人間的にきっとすごく魅力的な人なんだろうな、と勝手にイメージしています。