この展覧会についてABOUT THIS EXHIBITION
極彩色の衣装に身を包み立ち並ぶ、12人のアイヌの有力者たち。松前藩家老をつとめた画人、蠣崎波響(かきざき はきょう)が寛政2年(1790年)に描いた「夷酋列像(いしゅうれつぞう)」は、時の天皇や、諸藩の大名たちの称賛を受け、多くの模写を生みました。蠣崎波響筆のブザンソン美術考古博物館所蔵本と国内各地の諸本が、はじめて一堂に会します。
絵をめぐって接する人、交叉する物、そして日本の内に胎動し始めた外の「世界」。18世紀から現在に続く、蝦夷地=北海道のイメージを見渡します。
Ⅰ 夷酋列像の系譜
蠣崎波響が描いたとされる、フランスのブザンソン美術考古博物館の《夷酋列像》と函館市中央図書館所蔵の御味方蝦夷之図とともに、松平定信筆の詞書を伴う模写(国立民族学博物館所蔵)、平戸藩主松浦静山の命でつくられた模写(松浦史料博物館所蔵)、徳島藩御用絵師の渡辺広輝による模写(常楽寺所蔵)、真田家に伝来する模写(真田宝物館所蔵)などの諸本や粉本を展示し、模写の系譜や各本の特徴を紹介します。
Ⅱ 夷酋列像をめぐる人
《夷酋列像》に描かれたアイヌの首長たち、夷酋列像を描いた蠣崎波響、夷酋列像を閲覧した光格天皇や、知識人たち、評判を聞きつけて模写の制作を望んだ為政者たちと模写を命じられた絵師たちなど、「夷酋列像」の制作に関わった人々を紹介します。
そして、蠣崎波響が師事した宋紫石や円山応挙、蠣崎波響と同時代の絵師である月僊や若杉五十八が描いた、中国の仙人や伝説上の人物を描いた絵や洋風画を展示します。それにより《夷酋列像》が、「異人」であると同時に味方の「功臣」であるという、相反する二つの要素を持つアイヌ像をあらわしていることを伝えています。
Ⅲ 夷酋列像をめぐる物
《夷酋列像》に描かれた人物達は、アイヌ文様の施された衣装や、アイヌ独特の木彫りが施された煙草入や小刀に加え、蝦夷錦と称される中国から渡来した絹織物や、西洋の外套や靴など、蝦夷地を中心とした北東アジアの交流によってもたらされた品々が描かれています。これらは、和人にとって、珍しいものであると同時に高級品であり、「異人」であると同時に味方の「功臣」であるというアイヌをあらわすために蠣崎波響によって選ばれたものが描かれていると考えられています。夷酋列像に描かれた、衣装や装身具、狩猟具などの展示を通して、蝦夷地を中心とした北東アジアの交流を紹介します。
Ⅳ 夷酋列像をめぐる世界
「夷酋列像」がつくられた18-19世紀の為政者や知識人達は、蝦夷地や「異国」へ、好奇心や危機感を募らせていました。為政者たちが「夷酋列像」に関心を寄せたのは、こうした時代状況のあらわれです。こうした関心が「夷酋列像」をかたちづくっていったと同時に、「夷酋列像」が、蝦夷地や、ロシアや中国といった「異国」への関心をかたちづくっていきました。知識人や為政者達が、蝦夷地や海外にどのようなまなざしを向けていたかを、のこされた絵や書物、地図を通して紹介します。
開催概要EVENT DETAILS
会期 | 2016年2月25日(木)~2016年5月10日(火) |
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会場 | 国立民族学博物館 Google Map |
住所 | 大阪府吹田市千里万博公園10-1 |
時間 | 10:00~17:00 (最終入場時間 16:30) |
休館日 |
水曜日 水曜日が祝日の場合は翌日が休館日 年末年始(12月28日~1月4日) |
観覧料 | 一般 420円(350円) 高校・大学生 250円(200円) 小・中学生 110円(90円) ※本館展示もご覧になれます。 ※20名以上の学校団体は本館展示観覧料(高校・大学生 200円、小・中学生90円)でご覧になれます。 ※( )は、20名以上の団体料金、大学等の授業でご利用の方、授業レポート等の作成を目的とする高校生、3ヶ月以内のリピーター、満65歳以上の方の割引料金(要証明書等)。
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TEL | 06-6876-2151 (代表) |
URL | http://www.minpaku.ac.jp/museum/exhibition/special/20160225ishu/index |
国立民族学博物館の情報はこちらMUSEUM INFORMATION
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