この展覧会についてABOUT THIS EXHIBITION
第二次世界大戦終結から80年という節目の年を私たちは迎える今年、早稲田大学坪内博士記念演劇博物館では、第二次世界大戦を題材とする戦後日本の演劇作品を紹介する企画展「演劇は戦争体験を語り得るのか——戦後80 年の日本の演劇から——」を開催します。
文学や映画などと同様に、演劇というジャンルにおいても原爆や沖縄戦などを扱った作品は過去80年の間に数多く生み出されてきました。演劇はその特性上、戦争の悲惨な光景を必ずしも映画のような写実性や小説のような詳細さを伴って描き出すことはできません。劇作家たちはその分、舞台美術による暗示の効果や、登場人物の台詞がそのまま観客席にいる人びとへの鋭い問いかけにもなるという強みを活かすことで、演劇ならではの戦争の語り方を模索してきました。
本展では、公演ポスターや戯曲原稿、舞台美術模型、そして公演映像などの資料を作品説明とともに展示し、日本の演劇作品において第二次世界大戦の経験がどのように語られ、表象されてきたのかを紐解きます。
展示内容は、第二次世界大戦以前の歌舞伎や新派劇における戦争描写を紹介する〈プロローグ 戦争と演劇の関わり〉を前段として、
第1 章 「当事者世代」の戦争演劇
第2 章 原爆の表象あるいは表象不可能性
第3 章 「焼け跡世代」の演劇人と戦争の影
第4 章 さまざまな視点から見た戦争
第5 章 沖縄と終わらない戦争
から構成されます。台本検閲のあった戦時中から戦争の是非を問う戯曲を書いていた三好十郎に始まり、アングラ演劇や井上ひさしの戦争三部作などを経て、近年の話題作『ライカムで待っとく』(2022 年、兼島拓也作)にいたるまでの多種多様な戦争演劇のアプローチを紹介します。
近年、日本における演劇のアーカイブは大きな転換点を迎えました。2020年に新型コロナウイルス蔓延をきっかけに発足した EPADEPAD(舞台芸術アーカイブ+デジタルシアター化支援事業)と JDTA(早稲田大学演劇博物館が開設した Japan Digital Theatre Archives Archives)の協同により、全国の大中小の劇団や劇場が保持していた膨大な数の記録映像が、早稲田大学演劇博物館に集積されたのです。それらの資料によって、戦後80年間の日本の演劇を振り返ることが可能になりました。したがって、本展は過去5年間で急速に進められたアーカイブ事業の成果という側面ももちます。
演劇は第二次世界大戦についていかに語ってきたのでしょうか。それを顧みることは、今現在も世界各地で継続している戦争に直面する現代の私たちにとって、とても重要なことだといえます。本展は、普段演劇を鑑賞される方々にとってはもちろんのこと、演劇にあまり馴染みのない方々にとっても、「戦争という悲惨な現実を前に、はたして芸術に何ができるのか」という普遍的な問いを考える糸口となるでしょう。
開催概要EVENT DETAILS
| 会期 | 2025年5月12日(月)~2025年8月3日(日) |
|---|---|
| 会場 |
早稲田大学演劇博物館
|
| 住所 | 東京都新宿区西早稲田1-6-1 |
| 時間 |
|
| 休館日 |
5月28日(水)、6月4日(水)、18日(水)、 7月2日(水)、16日(水) |
| 観覧料 | 無料 |
| TEL | 03-5286-1829 |
| URL | https://enpaku.w.waseda.jp/ |
早稲田大学演劇博物館の情報はこちらMUSEUM INFORMATION
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