この展覧会についてABOUT THIS EXHIBITION
気候変動や大気汚染等による環境問題、複数の地域で今なお続く紛争や戦争、貧困や経済格差、人種差別、性的マイノリティの権利、移民・難民問題、新しい感染症の伝播など、今日、私たちは多くの深刻な問題と直面しています。一方で、この数百年という時間をかけて科学技術の進歩から社会的・文化的な発展まで、より良い未来のための土台を築いてもきました。ただし、これらの進歩や発展は同時に新たな課題を生むこともありました。このように私たちの今生きているこの世界は、過去の膨大な時間の重なりの上にあります。本展では、過去の歴史や記憶、現在という時間、あるいは未確定な未来について、様々な時間を取り上げることで世界の様相を浮かび上がらせます。
また、「時間」というテーマに連動し、本展では「描くこと」をもう一つのテーマとして設定しています。描くことは美術の歴史の中でも最も古くから行われてきた表現行為の一つであり、今なお美術の中心部を成しているといえます。ドローイングを何枚も描いたり、絵の具のレイヤーを重ねイメージを導き出したり、画面にオブジェや自然の素材を重ねるなど、描く方法も多様化しています。また、描かれたイメージを連続させるアニメーションや版木を彫って画面を作り上げる版画なども描く行為の一部といえます。描くことは、それ自体に多くの時間を費やし、物理的な素材やイメージを幾層にも重ねながら画面の深部へと鑑賞者を誘います。
本展では、絵画、ドローイング、アニメーション、版画などの手法を使って、過去の出来事への鋭い批評、土地が持つ歴史や神話、植民地化や戦争の歴史、風景や自然の中に眠る過去との接続や時間の流れ、土地に刻まれた記憶、生と死という生命の時間など、アーティストそれぞれの問題意識や関心から複数の積層した時間が描き出された作品を紹介します。
それぞれの作品を前にして、私たちはどのような時間を過ごし、どのような思考を巡らすことができるでしょうか。人類が経験してきた過去の時間から風景や個人に内包する親密な時間まで、この世界を感じ取り、次なる時間の層(=未来)について考える契機となることを期待しています。
開催概要EVENT DETAILS
会期 | 2025年4月29日(火・祝)~2025年9月28日(日) |
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会場 |
金沢21世紀美術館
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展示室 | 展示室7~12,14 |
住所 | 石川県金沢市広坂1-2-1 |
時間 |
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休館日 |
月曜日、5月7日、7月22日、8月12日、9月16日 ※ただし5月5日、7月21日、8月11日、9月15日は開館 |
観覧料 | 一般 1,200円(1,000円) 大学生 800円(600円) 小中高生 400円(300円) 65歳以上の方 1,000円
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TEL | 076-220-2800 |
URL | https://www.kanazawa21.jp/ |
金沢21世紀美術館の情報はこちらMUSEUM INFORMATION
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出展作品・関連画像IMAGES

ユアサエボシ《夢》2021
金沢21世紀美術館蔵
©Ebosi Yuasa
Photo: KIOKU Keizo

西村有《scenery passing (out of town)》2018
金沢21世紀美術館蔵 ©Yu Nishimura

杜珮詩(ドゥ・ペイシー)《玉山の冒険5 (ミシェル・フーコーから輝かしい未来へ)》 2011
金沢21世紀美術館蔵 ©Pei-Shih Tu

風間サチコ 《ディスリンピック2680》2018 撮影:宮島径
© Sachiko Kazama Courtesy of MUJIN-TO Production

今津景 《Memories of the Land / Body》2020
photo: KIOKU Keizo Courtesy of the artist and ANOMALY

チトラ・サスミタ 《Timur Merah Project XI: Bedtime Story》 2023-2024
©Citra Sasmita シドニー・ビエンナーレ(2024 年)での展示風景

ヴィルヘルム・サスナル《ベネズエラとコロンビアの国境》2019 金沢21世紀美術館蔵
©Wilhelm Sasnal photo: KIOKU Keizo

リュック・タイマンス《二重の太陽》2006 金沢21世紀美術館蔵
©Luc Tuymans photo:SAIKI Taku

アンゼルム・キーファー《フレーブニコフのために》1984-86 三重県立美術館蔵
©Anselm Kiefer photo: Atelier Anselm Kiefer