愛しの猫を求めて幾年月
シルバーメタリックになる前の横浜マリンタワーの無料配布ラックで見かけた眞葛ミュージアムのパンフレット、そこにあった写真に一目ぼれしました。それがこの愛くるしい猫の焼き物です。
眞葛焼、幻の焼き物と呼ばれています。横浜大空襲で窯元が焼けて廃業してしまったからです。地元の方も存在すら忘れていました。以前ケーブルテレビで、窯の跡地を取材していましたが、そこの住民の方は「庭から陶器のかけらがたくさん出てくるから変だと思ってた」と答えていました。
ひと目でいい、この猫に会いたい。
私の切なる願いはなかなか叶いません。なぜならこの猫、人気があり過ぎて全国各地を旅また旅で、なかなか横浜に帰ってきません。一瞬帰ってくるのですが、猫だけにまたたびです。
やっと出会える機会に恵まれたのが六本木のサントリー美術館でした。
私ごとで恐縮ですが、このとき仕事で両足首と右手を捻挫してしまい、医者からは全治1ヶ月と診断されていました。
でも、行きました。それほど会いたかったのです。
その後は神奈川県立博物館や横浜美術館で再開する機会にも恵まれましたが、実は微妙に表情が違います。
明治日本の超絶技巧の工芸品は海外で絶大な人気を博していたので、何体もつくられたようです。
いま横浜の眞葛ミュージアムで会うことのできる猫はこの子です。焼き付けの色が違いますが、このお尻のライン、同じ子に間違いありません。
猫だけに特化して紹介しましたが、初代宮川香山作品、他にも素晴らしいものがたくさんあります。エミール・ガレにも多大な影響を与えた超絶技巧の高浮彫作品など、驚愕ものです。あごを外すほどではないにしても、おそらくびっくりして口はあんぐり開いてしまいます。恋人と行く際は十分にご注意ください。
宮川香山眞葛ミュージアム
(平日は開館してません。ご注意ください。)