プレイバック My early 80’s 〜原田治展
2020年10月某日。
何気なくつけたテレビに、日本武道館での山口百恵のラストコンサートが映し出されました。昭和の国民的スターが引退したのは1980年10月5日だったのですね。引退から40年(すごい年月ですね!)、リマスター映像でBSの画面に蘇る百恵さんの姿は、当時21歳だったとは思えないほどの大人の美しさ。その歌声は一気に当時へとタイムスリップさせてくれるものでした。同じ日、NHK総合のSONGSに佐野元春さん(1980年がデビューだったのですね!)も出演されていたようです(残念ながら、私は見逃しましたが)。筒美京平さんの訃報も、私的には80年代を思い出すものでした。毎週、楽しみにしていたTBSのザ・ベストテンにも、筒美さんの作曲したキラ星のようなナンバーが何曲もランクインしていましたね。
この、80年代にタイムスリップする感覚は、先日まで福岡アジア美術館で開催されていた、『原田治展「かわいい」の発見Osamu Harada : Finding “KAWAII”』を訪れた時に感じたものと同じものでした。
福岡アジア美術館 原田治展「かわいい」の発見Osamu Harada : Finding “KAWAII”
https://faam.city.fukuoka.lg.jp/exhibition/10490/
「70年代後半から90年代にかけて女子中高生を中心に爆発的な人気を博したOSAMU GOODS(オサムグッズ)の生みの親、原田治」とは、この展覧会のチラシに書いてあった原田さんを紹介する枕詞。その通り、ど真ん中の80年代前半に高校生だった私は、原田治さんが描くOSAMU’S MOTHER GOOSEのキャラクターが大好きだったのです。
親友に送ったジャック&ジルのカード。お弁当箱(?だったかな。。)を入れて通学したハンプティダンプティのスクールバッグ。学校帰りに近くの書店で立ち読みしていたマガジンハウスの雑誌の表紙・・・・忘却の彼方にあった高校時代の小さな日常が蘇えります。
と言っても、この展覧会との邂逅は旅の目的だったわけではなく、ラッキーな偶然。その日、私はたまたま博多にいて、そして3時間程の自由な時間があって、市内の美術館をチェックしたところ、一度訪れてみたいと思っていた福岡アジア美術館で開催中の展覧会が、原田治展だったのです。原田治さんが2016年にお亡くなりになっていたことも、このとき初めて知ったのでした。
大学生になる頃にはもう手に取ることもなくなってしまったけれど、そして、その後もOSAMU GOODSが好きだったことを思い出すことはなかったけれど。。。
展示されていたNY時代のイラストや、原田さんが小さな島に建てたアトリエのランドスケープや空間、インテリアの趣味、そして何よりマザーグースシリーズの作品の原画や、アートディレクションが行き届いた(当時はそんな視点はゼロでした!)OSAMU GOODSの商品群を見て、あの頃、高校生だった私の好みや感性は、今の私にも流れている、と思ったのです。
終始一貫してぼくが考えた「可愛い」の表現方法は、
明るく、屈託がなく、健康的な表情であること。
そこに5%ほどの淋しさやせつなさを
隠し味のように加味するというものでした。
これは、展覧会の最後にプロジェクターから映し出されていた原田治さんの言葉。展覧会の余韻のように心に残ります。
『原田治展「かわいい」の発見Osamu Harada : Finding “KAWAII”』 は2019年7月の世田谷文学館を皮切りに全国を巡回していたのですね。福岡アジア美術館の展覧会は終了しましたが、2021年1月8日から静岡県三島市の佐野美術館での開催が決定したようです。
https://www.osamugoods.com/news/201015_2.html
これまで、この展覧会を見逃していた、私のような80年代のティーンエイジャーやOSAMU GOODS愛好家の方がいらっしゃいましたら、是非出かけてみてください。佐野美術館、私は未訪問ですが、回遊式庭園のある美しい場所のようですね。私もあの頃の自分に会いに、出かけてみたいと思います。
佐野美術館
https://www.sanobi.or.jp
P.S.
福岡アジア美術館の原田治展の特設ショップでは、OSAMU GOODSの商品はレジに長いラインができる大人気。あっという間に多くの商品がSOLD OUTになっていました。残念ながら私は、現在の生活の中で愛用するシーンを思い描くことができなくて、懐かしく眺めただけに。
グッズの代わりに購入したのは1冊の本、「ぼくの美術ノート」(亜紀書房刊)。これは原田治さんが2007年から2010年に芸術新潮に連載したコラムがまとめられたもの。スリップケースに収められた、小体ながらも原田治さんらしい美意識を随所に感じられる素敵な1冊です。原田さんの心を捉えた美術にまつわるエッセイは、一気に読みきるのはもったいなくて、タイトルごとに丁寧に味わいたい。このブログを読んでくださったあなたにも、共有させてください。
「ぼくの美術ノート」原田治著(亜紀書房刊)
https://www.akishobo.com/book/detail.html?id=804&ct=7
何気なくつけたテレビに、日本武道館での山口百恵のラストコンサートが映し出されました。昭和の国民的スターが引退したのは1980年10月5日だったのですね。引退から40年(すごい年月ですね!)、リマスター映像でBSの画面に蘇る百恵さんの姿は、当時21歳だったとは思えないほどの大人の美しさ。その歌声は一気に当時へとタイムスリップさせてくれるものでした。同じ日、NHK総合のSONGSに佐野元春さん(1980年がデビューだったのですね!)も出演されていたようです(残念ながら、私は見逃しましたが)。筒美京平さんの訃報も、私的には80年代を思い出すものでした。毎週、楽しみにしていたTBSのザ・ベストテンにも、筒美さんの作曲したキラ星のようなナンバーが何曲もランクインしていましたね。
この、80年代にタイムスリップする感覚は、先日まで福岡アジア美術館で開催されていた、『原田治展「かわいい」の発見Osamu Harada : Finding “KAWAII”』を訪れた時に感じたものと同じものでした。
福岡アジア美術館 原田治展「かわいい」の発見Osamu Harada : Finding “KAWAII”
https://faam.city.fukuoka.lg.jp/exhibition/10490/
「70年代後半から90年代にかけて女子中高生を中心に爆発的な人気を博したOSAMU GOODS(オサムグッズ)の生みの親、原田治」とは、この展覧会のチラシに書いてあった原田さんを紹介する枕詞。その通り、ど真ん中の80年代前半に高校生だった私は、原田治さんが描くOSAMU’S MOTHER GOOSEのキャラクターが大好きだったのです。
親友に送ったジャック&ジルのカード。お弁当箱(?だったかな。。)を入れて通学したハンプティダンプティのスクールバッグ。学校帰りに近くの書店で立ち読みしていたマガジンハウスの雑誌の表紙・・・・忘却の彼方にあった高校時代の小さな日常が蘇えります。
と言っても、この展覧会との邂逅は旅の目的だったわけではなく、ラッキーな偶然。その日、私はたまたま博多にいて、そして3時間程の自由な時間があって、市内の美術館をチェックしたところ、一度訪れてみたいと思っていた福岡アジア美術館で開催中の展覧会が、原田治展だったのです。原田治さんが2016年にお亡くなりになっていたことも、このとき初めて知ったのでした。
大学生になる頃にはもう手に取ることもなくなってしまったけれど、そして、その後もOSAMU GOODSが好きだったことを思い出すことはなかったけれど。。。
展示されていたNY時代のイラストや、原田さんが小さな島に建てたアトリエのランドスケープや空間、インテリアの趣味、そして何よりマザーグースシリーズの作品の原画や、アートディレクションが行き届いた(当時はそんな視点はゼロでした!)OSAMU GOODSの商品群を見て、あの頃、高校生だった私の好みや感性は、今の私にも流れている、と思ったのです。
終始一貫してぼくが考えた「可愛い」の表現方法は、
明るく、屈託がなく、健康的な表情であること。
そこに5%ほどの淋しさやせつなさを
隠し味のように加味するというものでした。
これは、展覧会の最後にプロジェクターから映し出されていた原田治さんの言葉。展覧会の余韻のように心に残ります。
『原田治展「かわいい」の発見Osamu Harada : Finding “KAWAII”』 は2019年7月の世田谷文学館を皮切りに全国を巡回していたのですね。福岡アジア美術館の展覧会は終了しましたが、2021年1月8日から静岡県三島市の佐野美術館での開催が決定したようです。
https://www.osamugoods.com/news/201015_2.html
これまで、この展覧会を見逃していた、私のような80年代のティーンエイジャーやOSAMU GOODS愛好家の方がいらっしゃいましたら、是非出かけてみてください。佐野美術館、私は未訪問ですが、回遊式庭園のある美しい場所のようですね。私もあの頃の自分に会いに、出かけてみたいと思います。
佐野美術館
https://www.sanobi.or.jp
P.S.
福岡アジア美術館の原田治展の特設ショップでは、OSAMU GOODSの商品はレジに長いラインができる大人気。あっという間に多くの商品がSOLD OUTになっていました。残念ながら私は、現在の生活の中で愛用するシーンを思い描くことができなくて、懐かしく眺めただけに。
グッズの代わりに購入したのは1冊の本、「ぼくの美術ノート」(亜紀書房刊)。これは原田治さんが2007年から2010年に芸術新潮に連載したコラムがまとめられたもの。スリップケースに収められた、小体ながらも原田治さんらしい美意識を随所に感じられる素敵な1冊です。原田さんの心を捉えた美術にまつわるエッセイは、一気に読みきるのはもったいなくて、タイトルごとに丁寧に味わいたい。このブログを読んでくださったあなたにも、共有させてください。
「ぼくの美術ノート」原田治著(亜紀書房刊)
https://www.akishobo.com/book/detail.html?id=804&ct=7