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巨匠ピカソの人物画 @東京国立西洋美術館 小特集 版画素描展示室

国立西洋美術館・常設展にて開催中の「ピカソの人物画」展示は、20世紀最大の芸術家パブロ・ピカソの核心に迫る貴重な体験となった。混雑の比較的少ない常設展ならではの環境で、良心的な鑑賞料金にも関わらず、絵画・素描・版画など多様な作品群をじっくりと味わうことができた。

印象深かったのは、《リュイス・アレマニの肖像》。青とオレンジの背景に黒一色で描かれた男性像が強烈な印象を残す。背景の陽気さとは対照的に、クールで静かな佇まいを見せる人物は、気取ることなく空気を一変させる存在感を放っていた。ピカソの筆致は素早く、しかし立体感と深みを失わないこの男に導かれていた。

 一方、《夜、少女に導かれる盲目のミノタウロス》の表情には苦悩と孤独が刻まれており、ピカソ自身の心理的な揺らぎが重ね合わされるようだった。神話的な主題でありながら、極めて人間的な感情が滲み出ていて、見る者の心を深く揺さぶる。

そして圧巻の1928年制作のリトグラフ《顔》。見ることの本質を問う造形実験の到達点とも言える作品。簡潔な線描の中に、ピカソの知覚と造形への探究心が凝縮されているのではないかと思った。

 ピカソが生涯にわたり「人」を描き続けた理由と、その多面的な表現の深さを改めて実感させてくれるものだった。静かな空間で、巨匠の視線と対峙する時間は、まさに贅沢なひとときだった。


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