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金沢市立中村記念美術館は、市街の中心にありながら、森の緑に囲まれ、市内を流れる辰巳用水(たつみようすい)の水音が響く恵まれた自然環境の中で、茶道と美術に親しむ憩いの場として、1966年(昭和41年)5月に開館した美術館である。
中村記念美術館の歴史は、金沢で酒造業を営む実業家で茶人の中村栄俊(1908~1978)が創立した財団法人中村記念館に始まる。中村栄俊は、1943年(昭和18年)表千家流の茶道に入門し、茶道具の収集を始めた。1945年(昭和20年)の敗戦に痛手を受けた氏は、戦後の日本は文化国家として繁栄していかなければならない、そのために金沢に美術館を作ろうと志を立て、それから精力的な収集が始まり、1965年(昭和40年)、「美術品は一個人のものではなく国民の宝である」という信念のもと、収集した美術品を寄贈して財団を設立、中村家住宅を展示棟として現在地に移築・改装、翌1966年(昭和41年)5月に、中村記念館が開館した。
その後、1975年(昭和50年)7月、所蔵品が金沢市に寄贈され、金沢市立中村記念美術館として再発足、平成元年11月、市制百周年を記念して新館が開館。所蔵品は、茶道具、近世絵画、古九谷、加賀蒔絵など、中村氏収集の名品を核に、個人からの寄贈や市費による購入が加わり、現在、重要文化財5点、県指定文化財1点、市指定文化財8点をはじめ約1000点を数える。これを年4~6回の企画展で公開するほか、茶会、聞香席など多彩な行事を開催している。
旧中村邸、茶室「梅庵」、茶室「耕雲庵」は茶会などの貸室としても提供。日本庭園を眺める本館呈茶席では、抹茶もいただける。
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