5.0
素晴らしい展覧会
展示が美しく、構成もとても良かった。ミュシャの絵がポスターとして重宝されていたのは知ってはいたが、実際に見ると広告のとしての目の引き方を体感できたのが感動した。 嫋やかかつ、しなやかに意志を持った瞳を表現したミュシャをより好きになれた。
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版画と油彩画―ふたつの世界を見渡す
草花に彩られた女神のような女性と波打つ曲線。19世紀末パリの香りが色濃く漂うアルフォンス・ミュシャの版画は、多くの人の心をつかんできました。さらに、近年、注目の高まるミュシャの油彩画。神秘的で、荘厳な画面は、画家としての奥深さを見せつけます。
パリ時代の華やかな版画と、パリを離れた後半生に打ち込んだ油彩画。両者を一つの視点から眺め渡す機会が、これまでほとんどなかったために、まるで別世界のもののように語られてきました。しかしながら、固定観念を取り払い各々の作品に向き合えば、色やかたち、構図の作り方など、絵作りの要素には、共通点が多いことに気づきます。
つまり、版画にも油彩画にも、一目でミュシャと分かる強い個性が、その造形にあふれているのです。さらに言えば、この造形の生み出す力こそが、私たちを惹きつけてやまないミュシャの魅力の核心と言えるでしょう。
本展では、版画の代表作と貴重な大型の油彩画、さらに素描や下絵も合わせて、ミュシャの魅力を余すところなく紹介します。
会期 | 2024年9月21日(土)~2024年12月1日(日) |
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会場 |
府中市美術館
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住所 | 東京都府中市浅間町1丁目3番地(都立府中の森公園内) |
時間 |
10:00~17:00
(最終入場時間 16:30)
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休館日 |
月曜日、9月24日(火)、10月1日(火)、10月8日(火)、10月15日(火)、11月5日(火) ※ただし9月23日、10月14日、11月4日は開館 |
観覧料 | 一般 1,000円(800円) 高校生・大学生 500円(400円) 小学生・中学生 250円(200円)
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TEL | 050-5541-8600(ハローダイヤル) |
URL | https://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/ |
5.0
展示が美しく、構成もとても良かった。ミュシャの絵がポスターとして重宝されていたのは知ってはいたが、実際に見ると広告のとしての目の引き方を体感できたのが感動した。 嫋やかかつ、しなやかに意志を持った瞳を表現したミュシャをより好きになれた。
5.0
府中市美術館の「ミュシャ ふたつの世界」が12月1日で閉幕となりました。しかしながら、横浜のそごう美術館でも「ミュシャ展 マルチ・アーティストの先駆者」が開催中ですし、12月3日からは渋谷のヒカリエホールで「グラン・パレ・イマーシブ 永遠のミュシャ」が開催されます。
こんな近距離でミュシャ展があちこちで開催されるのは珍しい現象です。全部見に行きたいけれど、とりあえず会期ぎりぎりの11月29日に府中市美術館に行ってきました。
同館は比較的マイナーなアーティストの展覧会をひっそりと開催しているイメージで、いつも空いていてゆっくり観られるのですが、今回は混雑していました。やはりミュシャという名は集客力があるのでしょうか。
《スラヴ叙事詩》全20点をチェコ政府から借りだした国立新美術館ほどの政治力も資力もない市立美術館なので、細々と集められた少数の作品が並んでいると思っていましたが、なかなかの品揃いでした。市制70周年記念とのことで気合いが入っていたのでしょうか、国内各地から借り出された作品に府中市美術館保有の数点を加えた約120点が展示されており、見応えがありました。
題名にある「ふたつの世界」とは版画と油彩画のことらしいです。
今まで各地のミュシャ展やアール・ヌーヴォー系の展覧会でミュシャの版画は何度も観ていますので、今回展示されていた作品も観た記憶のあるものばかりでした。「お久しぶり」という感じで鑑賞しました。これに対し、油絵は見たことのない作品がほとんどでした。肖像画も珍しいのですが、最後に展示されていた「クオ・ヴァディス」と「ハーモニー」は圧巻でした。所有する堺アルフォンス・ミュシャ館の存在を初めて知りました。また、個人コレクターのOGATAコレクションが1300点のミュシャ作品を所有し、ミュシャ展を企画する美術館に作品を貸し出していることも後で調べて知りました。
楽しめた展覧会でした。次はヒカリエホールに行くつもりです。
4.0
初めての絵の仕事である物語の挿絵(白い象の伝説)の繊細さ、大胆さにいきなり凄いと感じた。この経験がデッサン力の基礎を作ったのであろう。
そして、ミュシャを最初に有名にした大女優サラ・ベルナールの演劇用のポスターに魅了された。ポスターのサイズが大きくサラが美しいだけでなく、劇中のサラの役どころを的確に表現し、舞台装飾までを意識しウィットに富む内容となっていて、このシリーズがミュシャの画業の頂点ではないかと感じた。
女神の様に美しい女性のポスターの数々は、バリエーションに富み見飽きることがなく、当時の人々の部屋の装飾にうってつけであったことだろう。今見ても天にも昇る気持ちにさせてくれる。
軽やかな版画に対し、油彩画はスラブ民族の祖国建設の願いが込められていたのか、精神的に深い部分を表現していて、見る者を圧倒します。
4.0
どうしても画業を追う解説に終始する展覧会は多いが、作品の魅力を技法として解説しているのがとても良かった。
もちろん画業の変遷もあるのだが、モチーフとなる女性の陰影や太い輪郭線、装飾的デザインなものとモデルの組みあわせのレイヤー構造的〈妙〉の解説等が実に的を射ていたし、素人でもわかりやすい文章になっていた。
ビール広告もよく見ると工場が、香水広告には商品説明がデザイン的にきちんと配されてたり、現在でも通じる技法が隠されていた。
なぜミュシャが人々に受け入れられてきたのかが、デッサン・下絵等も含めての展示で実に理解しやすかった。特に「四つの星」は陰影の強さを確認するためのデッサンが秀逸。完成作との比較でミュシャの意図するものがより実感できた。
絵画は最後の部屋の「クオ・ヴァディィス」「ハーモニー」は見応えアリ。
まぁミュシャファンにはお馴染みの作品が並んではいる。
それでも観覧料1,000円はお得だと思う。
ちょっと窮屈な展示レイアウトの場所があったのは残念。
10月22日(火)11時半入館。混雑無し。撮影不可。
4.0
会期開始して間もない週末午後に訪問、多くの観客で盛況でした。
「ふたつの世界」との本展タイトルは、華やかなアール・ヌーヴォーのポスター版画と重厚な油彩画の両者を意識したもの。その他、下絵、デッサンも多数出展されてます。
油彩画では、象徴主義的な作品が数点ある。が、油彩画の中心は、画業の後期、故郷のチェコ、スラブの民族・文化を讃える大作を制作し、それらが日本で所蔵され、出展されているもの。立派な作品。
実は、下絵・デッサンが秀逸で良い。ミュンヘン、パリで勉強し、若き日には挿絵画家として力量発揮した所以です。太い線・細い線の流麗な使いかた、構成、更には装飾的モチーフのデザイン、等々、緻密でしっかりとした作業が確認できます。
やはり、真骨頂は大判のリトグラフ・ポスター。これぞミュシャ、の世界だ。
タテ2m近い超大判物は迫力満点。
《ジョブ》《モエ・シャンドン・インペリアル・クレマン》《モナコ・モンテカルロ》辺り、は素直にカッコいいと思う。
「四季」や「宝石」を主題にした四枚連作モノが何組か出展され、見応えたっぷり。中でも「四つの星」は堺所蔵の習作とOGATA所蔵の完成作が並べて展示されている。習作の醸す絵画的情緒・写実要素が、完成作では装飾美に変換される、その比較ができて面白い。
国内の所蔵作品だけでこの規模・クオリティの展覧会が開催できるのも、ミュシャの特筆されるところでしょう。カメラのドイのお二方、土井君雄氏の堺ミュシャ館と尾形寿行氏のOGATAコレクション、それにサントリーによる中之島美術館寄託品とインテックによる富山県美術館寄託品が集結した結果です。西洋的美麗への憧憬・蒐集意欲で何人も虜になった、すごいことです。
(コスト高の昨今は、国内完結の西洋作家展としてミュシャに触れる機会が増している気がします。飽きがこないと良いな、が杞憂でありますように。)
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